第78回 夏の終わり<後半>
お盆は、あの世とこの世が少しだけ混ざるお祭りの三日なのかもしれないな。
私がそう思ったのは、それから数日後のワンコの散歩時。
うちのワンコは、子供が苦手だ。小さい子供がワーッと走り去るのに出くわすと小さくなって私の影に隠れる。そんな姿を見ていたのだろうか? 親からのアドバイスだろうか? 静かにやってきて「触ってもいいですか?」と、頭を撫ぜてくれた女の子がいた。ワンコがビビらず落ち着いているのを確かめると、別の女の子に手招きをする。そういえば、いつも一緒にいた女の子3人組ともしばらく出会っていない。
あの時は、ワンコも小さくて可愛かった。亀虫をパクリっとしたり、台所に置いた焼き芋をジャンプしてかすめ取る日が来るなんて思ってもみなかった。
あれから3年経つんだろうか。気付くと、女の子たちが遊んでいた公園も、遊具は撤去され、カラスの鳴き声だけが響くようになった。「人もワンコも街も変わるねん・もう帰るでー」と言わんばかりに、くるりと体を家が見える方に向け、リードを引っ張る。飼い主の夏の終わりの感傷なんてお構いなしだ。
すると、おやおや、顎位の段カットの初めて出会う女の子が、さーっと駆け寄ってくる。
あれれー子供嫌いなワンコが、頭を撫ぜられ。飼い主にリードを持たれたまま女の子の腕の中に入っていく。まるで、映画の再会場面のようで、飼い主、唖然(@_@)
「犬飼ってるの?」気を取り直して聞いても、「犬は好き?」問うても返事がない、私の人とは違う声に驚いているふうでもない。聞こえてる?
ワンコをそっと置く女の子に「ありがと。優しくしてもらって。あなたは勇気があるんやね」
そう告げると「うち犬飼えないの」と答え、走り去っていった。
振り返ると、見えるはずのカーブになった道なりに女の子の姿はなかった。
時折、ワンコと同じような時間に同じ場所に行くのだけど、女の子に出会わない。
会いたくて会えなくても心が柔らかになる。そんな存在に私はなれそうにない。
この世にいても、あの世に逝っても…(笑)
煩悩の塊・私欲の代表のような私は、おりんを打ち、お仏壇に手を合わせる。
「人は死んだら、はい、それまでよ」ではないのかも知れない。この世に思いを残す人・あの世に想いを馳せる人。それをご縁というならば、私たちはいつまでも繋がっているのかもしれない。
だから、私は今ここにいるのかもしれない。