第76回 夏に出会いたいもの
エアコン入れれば足がフリーズする。
エアコン止めれば頭がフリーズする。
今夏、エアコンの冷えと水分不足による筋緊張から、右足がぎっくり腰に似た症状を繰り返している。で、頭にはアイスノン腰にはホットパック腹には腹巻といういでたちで寝ている。
どうも、エアコンとはうまく付き合えない。
昔は今みたいに40度近い暑さなんてなかった。だから、家にエアコンがあっても、お客が来たときにつける程度。
扇風機かけてアイス食べて行水して昼寝でもしたら、暑い夏も充分楽しく過ごせた。まあ、子供だったからかもしれませんが・・・
それにしても令和のこの暑さ、老体にはこたえます。
昨日は夫の命日でしたが、ほんまに生きるも逝くるも大変ですわ。
入道雲の向こうに行った夫にかける言葉は、今年もやっぱり「父ちゃん・カムバック」「わしゃ嫌やー」と山びこが返ってきそうですが(笑)
18年前のあの日も暑かったんだけど「熱中症」や「外出危険」という言葉は、まだ世に出ておらず、みんなでお別れの時間も持てました。
つい、こないだのことみたいに時間は経ったけれど、このかん世の中はいろいろ変わりました。
コロナ禍そうだったように、これだけ暑いと「お別れの式」にもお誘いしずらい。墓参りもお葬式もリモートでできちゃうしね。
くそ暑い中「病院の遺体を一度家に持ち帰りたい」なんていう家族の申し出も今は聞いてもらえないんだろうな。
夫を見送った45歳の私は、脳性麻痺とはいえ、まだ元気だった。
逝った夫を追いかけたい気持ちや恨みやつらみの感情にどっぷりつかり、毎夜毎夜泣き叫べたんだから。
もちろん、好きな夫だったからあんなに悲しんだんだけど、悲しめるパワーがあったってこと。その思いを言葉にして書き起こして生きたんだから…。
今にして思えば、ありがたい時間だったと。
こればかりはわからぬことなれど、順当に行けば私は父母の送り人にもなる。その時には、もっとスマートに淡々と悲しめるかな。「100歳越えの大往生やん」言うてね。
私は、おそらく一人で生きて一人で死ぬんだろう。今夏も父ちゃんは帰ってこない。それなら、せめて、暑すぎず冷えすぎないエアコンに出会いたいものだ。
「おいおい・わしゃエアコン並みか?18年経つとお前も強くなったもんだね」夫の写真が笑っている。