第39回 逃げるは、いっときの〇〇
ワンコと暮らしていて思うのは、私も含めて、人間って「逃げる」のがほんまに下手やね。
ワンコは上手だよ。嫌なことから逃げる逃げる逃げる。夕方は私との散歩に気乗りしないのか、てってっけてーと逃げて、いつもは嫌がるお小屋にボコって入る。そして、てこでも出て来ない。
朝は開放的な外うんちがよいのか、しゃーなしのお顔でついてくる。が、「ワンちゃんともごあいさつしたね。偉かったね」と頭をなぜて足拭きぞうきんを見た瞬間逃げる。「手足なんか拭かせないよーここまでおいで―べろべろばー」てってっけてー。
まあ、こやつが逃げるは、すなわち自己防衛。飼い主の力量不足故。しゃーないか。
欲にまみれた人間が、不正を働き嘘を重ねて、挙句に「何も存じあげませんでした」「なにがどう関係あるのか私にはわかりません」などと言うのとはわけが違うもの。
加えて、自分で尻ぬぐいができないのもワンコ。が、人に尻を拭かれるも嫌。だから、尻の毛にカビカビのブツが絡みついている時なんぞは「ごめん!」
とっつかまえて風呂場に直行。しっぽをあげシャワーでブツを柔らかくしてかき出す。そのあとは、「もーよくもあたいのお尻の穴に指をつっこんでくれたわね」と怒りながら走る走る走る。あっはは。許せ許せ。
考えてみればワンコ同様、人間も他人に尻を拭われたくないのかもしれない。でも「私が休むと迷惑がかかる」「私が行かないと…」はあなたの思い込みちゃうん?
人間生身やもん。失敗したり病にかかったたりもする。社会人ならごちゃごちゃ言わんと、大人しく他人に尻を拭かれろ。それができない組織やあなた一人が欠けてたちゆかなくなる職場なら逆に危ないで。
日本は衛生面に優れた国なのに、コロナの活躍は止まらない。気づくと今やみんな誰かの濃厚接触者ではあるまいか。なんでやねん(・・?きっと…
みんな、まじめなのだ。逃げないのだ。休まないのだ。
休暇中にコロナ感染して、休暇が延期になるのは政治家ぐらいのもの?なのだ。
国民には勤勉を強い、逃げない姿を賛美するのに、おかしいやないかい!
私は3年前職場からしれーって逃げた。「ここは私が必要とした場所。でも、もういいかっ」とご卒業〜を決めた。休職を勧めた人もいたけれど、休んだとてなーここに再び戻れるかどうか…。ならば、瞬間(いま)!お尻丸出しでてってっけてーだ。退職を告げて一ヶ月。仕事の引継ぎはしたけれど、翌々月入っていた予定は聞かなかったことにした。
辞める時には、穏便に平和的に恨みっこなしに「立つ鳥跡を濁さず」なんて思っていた。が、そんな辞め方ができれば、未来永劫そこにいられるわー。
辞めたら最後。職場に行く義務も権利もなくなる。で、私が座っていた椅子もすぐに埋まった。
今頃あそこにいたら…と想像することもない。出会えたことに感謝したけれど、そんなもんです。はい。逃げるはいっときの○○です。