第72回 花粉症の春に想うこと
「春だー桜だーお花見だー」はしゃぎたかったのだけど、今年は花粉症で…という方も多かったはず。
多分に漏れず、私も目は痒いし、鼻はムズムズするし、今も顔近辺が不快でたまらない。
私は体幹の筋肉が弱い。最近、立位も危なっかしいので、突然のくしゃみは自滅行為。「ははははくしょーん」とすぐにいきたいのを、ぐぐぐーと堪える。指で鼻の穴を抑えて、座ってからくしゃみをする。
そんな姿に首を傾げるワンコもくしャみをする。
家から見えるお山も輪郭が描けないぐらい霞んでいる。
あーあ。いったい何が飛んでいるのやら?と、少し調べてみると…
どうやら、花粉自体は人間にこんなにもダメージを与えないらしく、私たちが纏っているのは大気汚染された花粉で、これが私たちの不快の原因物質なのだそうだ。この説に私は納得する。
そういえば、沖縄や北海道は花粉症に悩む人は少ないと知る。もともと、スギやヒノキが少ないからなんだろうが、当地の植林もあるはずだ。でも、がじゅまるアレルギーやシラカバアレルギーなんてあまり聞かない。
夫がいた頃、春に沖縄をよく訪ねたことを思い出す。20〜30年の沖縄は空も海も澄んでいて、夫は花粉症の難から逃れられるーと言っていたっけ。今年は北海道物産展にさえ行けなかったけれど、シラカバの下で吹かれた風も心地よかった。
「あの頃に戻りてぃー」とは思わないが、振り返ればしあわせな時間がいつもある。
「金はなくとも旅はいたそう」福本家家訓のもと、旅行ルートも決めていたのは、社会の高校教師だった夫。だから、城やら博物館やら、過去に人間がしでかした戦争や公害・薬害などを思い起こす地も多かった。今の様に「こどもが楽しむ」テーマパークも少なく、移動も自家用車のみ。そんな大人旅も息子なりに楽しんでいたとお嫁ちゃんを通して知る。
父ちゃんと虫とりをした日から瞬く間に大きくなり、36歳男児に仕上がった息子。
50年後には…86歳の不良じいさんか(・・?
その頃には、孫に手を引かれ「昔は大気汚染がひどくて花粉症があったんや。で、きれいな空気を再生したのは…」なんてね。不良じいさんは、科学館でうんちく話をたれるの。「そういえば、爺ちゃん、理科の先生やったな。俺、信じてないけど」とか孫に言われてね。
だって、空気を汚して花粉症にかかって、みんな同じお薬飲んで目薬刺しているって?こんな事続けていくのは、やっぱり滑稽ですよ。
経済成長に公害は付き物なんてあほぅな時代を生きた、エコとかクリーンという言葉が似合わない私が言うのもなんですが…