第58回 夫の17回忌を考えていたら…
姑デビューを果たしたものの、玄関開けたらすぐ階段。加えて猫が飛び出てくるやもしれぬ新婚家庭なぞにはお邪魔できない。
「今日は失礼するわ」と階段下、顔をひきつらせたのは正月だった。なにが「そう?二人でおかん担ぐで」やねん。
それをいうのならなんで住居をここにしてん?「階段と猫」って完全に千夏除けやん。「なんかあったらいつでも行くから」??いつも顔出さぬ奴をなんかの時に呼んでも対応困難でしょうが。
そっちはなんかあっても、今度は帰ってくんなよ。フン!冷たい奴め。
なんかなんて起きない平穏無事な日々を、私はゆるゆる生きてやる。ワンコはひょいひょい生きておる。
そりゃーね、3か月のワンコは、動きが読めない私の手足をカプカプ。どこでもカジカジ。おしっこシャーシャー。💩ポトン。赤子のように夜鳴きまで…。
夏・10キロやせた裸体を、ソファーに預けると、あらら。私の乳をチューチューと。
「えっそれって冷たい息子さんのことですよね。私はそんなことしてません」てな顔で今は足元で寝たふりをしておるが。
この春、3歳になったワンコは、ヘルパーさんと私の行動もよくご存じのようで。
留守番時には「いってらー。ささみ買ってきてや」とソファーに乗る。私の食事時には「誤嚥にきいつけて、ゆっくり食べや」とお小屋に入っていく。服を脱ぎ始めると「風呂入るんかい?湯加減みてくるわー」と風呂椅子の上でちょこんと待っている。
そんなワンコの仕草に一日また一日、あはははと笑って暮らしていると、夫の17回忌をせぬまま時を過ごすのもありか?なんて思ってしまう。
いやいや…
正直に言うとこうだ。今月こそはお寺さんをお願いしようと思い、月初めにお勤め金を含めた生活費を出金する。が、月半ばには「ふむー」と首を傾げる。で、月末には財布の中はすっからかん。
私、特に贅沢もしてないと思う。今月は4年ぶりに特売のユニクロでシャツを買い替えた。先月はワンコのトリミングに最後の諭吉が去った。
まあ、この世の者は腹も減る。気づかぬ振りでなんとかやり過ごしていたけれど、物価高騰のあおりはあの世の者も受けていた!?
もはや17回忌ではなく18回忌になるのだが、しかし次は33回忌(・・?。
幸い、私に加えて私の父母も未だこの世のものだ。17回忌は、別離の悲しさに耐え、みなそれぞれに生かされていることに手を合わせるラストチャンス!
「ええ婿やった」「最高の夫でした」「父ちゃんカッコよかった」「お義父さんにお目にかかりたかった」と家族の時間を持つのも悪くはない。
ですが…。
自分が履く言葉も自分が見たものも瞬時で忘れる母のことを考えるとね。
孫の結婚相手のお顔も忘れ、孫の名前もすぐに出て来ないのは、まっ91歳のお年頃。だけど、最近「創作物語」をするのが好きなご様子。
えーい・語れ語れ。早苗婆ちゃんの大舞台や!
言語障害も手伝って思ったことをぐぐぐーと胸にしまう私。息子に嫁に気を遣い、お腹の中はまっくろけのけっけ。ピュアな心としろーいお腹をもつ婆ちゃんの言葉の方がよっぽど真実味があるわ。
冷たい息子は、「父の17回忌」なのにお寺さんに気を遣うのでなるべくなら簡略に・とぬかしやがった。幼稚園児のような物言いにはらわたが煮えたぎった。
くっそー思いっきり長生きして、33回忌もやったる!