第50回 私、おひとりですが、
ひとりっきりではございませんー
6月が過ぎた。また、うっかり年を重ねてしまっている。60歳もあっという間だった。
ワンコと共に、小鳥のさえずりで起き、月を見て床に就く繰り返し。体のあちこちが痛いことを覗けば、幸せなご隠居はんだ。
おカネが絡むお仕事は、同人誌「しずく」だけ。年4度の締め切りに2本の寄稿はほどよい。大勢ではないけれど、「そよ風のように街に出よう(りぼん社)」からのごひいきさんもいる。加えて、ヤクルトが毎日飲めるのだから、ありがたいことこのうえない。
人としてのお仕事もまだある。90歳越えの両親の介護問題だ。
両親にしたら、「こんなん出てきましたあ」状態の障害児が初めての子。次の子はつくらへんと決めて、全身全霊で私を育てたらしい。
でも、それなら、あなたたちも後期高齢者としてちゃんと育ってや。私に全身全霊で寄りかかってきても、みんなで地獄行やん。それは、あかんでー。なんのために介護保険料払い続けてんねん(・・? 社会にも、心配と迷惑をしっかりかけて、生き抜いてくださいませよ。
それにしても、昔、映画スターのようなきれいな顔立ちのおっとっさん(お父さん)。私の他にお子はおりまへんのか?私ほんまにひとりっ子なん? ガハハハッと耳元で笑う私を「へっなんや」と不思議そうに眺めてるけど、先月は突然「ばあちゃん預かってくれへんか」とのお願い。びっくりしたぁ。叶えてあげたかったけど、私も急には動けぬ身。
それに、母がニトロ(狭心症等の発作時に使う治療薬)を飲んでいること。加えて薬を飲んだことを忘れること。誰に託すにせよこれだけは伝えないと。立て続けにニトロ(劇薬)を舌の上でコロコロしたら、母ちゃんアウトやん。それに、その場にいた人が罪人になりかねへんやん。おっおそろしい。
まあ、父にしたら、お腹がちぎれるくらい痛く、受診したら入院を勧められてパニックったんでしょうが。なら、母さんも一緒に病院連れていって「こんなん連れて入院できまっか?」って言うたらよかったのに。父ちゃん! 家が近くても、誰にも告げずに病院から脱走したらあかんわー。
病院にいたら老々介護の危うい実態が、病院のケースワーカーに伝わり、行政介入につながったかもしれないのに。あーあー。ばあちゃんが心配というが、ほんまは入院が嫌やったんと?
父ちゃんの93年酷使した腸が、次ねじれた時どうするか?設定で、結局私が動きました。
地域包括支援センターに出向き、父母の介護申請をし、ドクターの意見書をとりに行き、認定調査、面談をうけ、ケアーマネージャーと事業所との契約を結びました。ここまでが2か月。まだ具体的には何も誰にも助けていただいておりませんが。
年をとればとるほど、困ったときには誰も助けてはくれないこと。知っとるよ。
「助けてー」言ったとたん、人の波は引く。61年間、元気がない後期高齢者のようなよぼよぼヨタヨタの体で生きてきた私も骨身で知っとる。
でも、だからこそ、日常化する危ない状況を一人でも多くの人に知らせることが大切なんよ。
さすれば、助かる可能性はあがる。私も生きとるでしょ。案外お気楽に( ´∀` )