伊東市在住、おんな組組員・伊豆半島人を名乗る中山千夏さんの、身辺四方八方雑記!
伊豆新聞のシニア・ページに、2009年から毎週一回、連載されている長寿コラムを、同新聞のご協力で、おんな組用にアレンジ。たっぷり転載していきます。
 
 
 

第147回 矢崎泰久さん逝く

報道でご存知かどうか、元『話の特集』社主・編集長、ジャーナリストの矢崎泰久さんが暮れの30日に大往生した。享年89。

シゴトやアソビや市民運動の仲間だった。その間、約半世紀。親友だった。
私が伊豆に隠居し、さらにコロナがやかましくなってからはほとんど会っていない。私の出不精が極まったし、矢崎さんは70前後で免許返上したからだ。
けれども電話でたびたび、会っていた時と変わらず、かしましくおしゃべりしていた。その限りでは、13の年の差にもかかわらず、私より生きるかも、と不安になる勢いだったのだけれど。
倒れて救急搬送されたものの、当人のたっての要求ですぐに退院、お気に入りのマンスリーマンションでの一人暮らしを全うしての大往生だった。
晩年、身辺の世話をしていた若い衆たちから、そう聞いている。

訃報に続いて「追悼文」の依頼がふたつきた。『週刊金曜日』と月刊『創』。前者も後者も、その創立者や編集長と矢崎さんが親しく、執筆もよくした雑誌だ。
編集者の例にもれず、矢崎さん、死してもシメキリを持ってくる。
人間もモノゴトも、そのありようは、一見すれば単純でも、近くで見れば見るほど複雑きわまりないものだ。それを5枚や10枚の原稿にまとめるのはたいへん難しい。日夜、考えに考えて、それにしてはさっさとまとまった。
機会があったら読んでみてくださいな。
でも、この「雑記」はそれらよりうんと短い。だからここには矢崎さんのことは書かないつもりだった……のだけれど。

考えてみると、矢崎さんは伊豆と縁がある。書いておこうと思う。
母や祖母が存命の時から、矢崎さんはよく伊東の我が家を訪れてくれた。愛車を駆って、友だちをひきつれて。シゴトのこともあったが、多くはアソビだった。
夏には花火大会に訪れた。泳ぎは、体の密度が高くてすぐに沈没する体質だとかで苦手だったから、永六輔さんたちと漁船に乗って花火見物した時くらいしか、海に近づくことはなかった。
ゴルフにはてんから興味が無いから、川奈などにも行かなかった。若い頃には登山が好きで、大学ではそんな部に属し、ジャーナリスト仲間の本多勝一さんともいっしょにヤリだかホダカだかに登った、と聞く。しかし伊豆の山々に親しむことはなかった。

伊東でのアソビはもっぱら麻雀だった。各種の職に秀でてなお麻雀にも秀でた友がたくさんいた。花火見物などはついでで、彼らをうちに引き連れてきては、ポンチイと楽しんだ。麻雀の打ち上げには、伊東でお気に入りのイタリアンやステーキハウスに繰り出した。死ぬまで、おいしいものが大好きだったのだ。
幸か不幸か極端なゲコだったので、酒は楽しめなかったけれど。

今もうちの2階には、矢崎とその一統が運び込んできた雀卓が鎮座する。邪魔である。でも今しばらく置いておこうかな。
矢崎さんもその雀友のほとんどもあの世。これは賑やかな形見なのだから。


伊東の我が家で。故人と故猫。矢崎さんとビイちゃん。

伊豆新聞に連載中 その697(2023年1月11日掲載)


第146回 自然に生き抜く!
第145回 冬の扇風機
第144回 ヒミコいわく
第143回 %の魔術
第142回 情報操作とSNS
第141回 スポーツ好きのみなさんへ
第140回 「男社会」いまむかし
第139回 女ならでは
第138回 カードはお持ちで?
第137回 大病院観察記
第136回 ぼくらが子役だったとき
第135回 認定こども園??
第134回 死のライン
第133回 シェルブールの雨傘
第132回 パパ活選挙制度
第131回 久々の東京行き
第130回 利き手の考察
第129回 独裁党はデイリがお好き
第128回 深沢七郎ってひと
第127回 言論の自由社?
第126回 やたら暑い日々に
第125回 虫にも事変!
第124回 フォーク路地のコウタローさん
第123回 選挙はアブナイ
第122回 投票には行こう
第121回 老人と海
第120回 業者が作る系少女
第119回 正義があっても
第118回 草刈りをして
第117回 海苔のこと
第116回 若気の馬鹿力
第115回 子たちの集団移動
第114回 コトバの意と心
第113回 野放しの歌
第112回 あとは実行あるのみ!だが・・・
第111回 成人18歳に悩む
第110回 男のなかのオトコ

第109回 自分の場所
第108回 コロナに戦争
第107回 ソラマメの記憶
第106回 しかし3月
第105回 父、大往生す
第104回 開戦前夜のココロ
第103回 蕗味噌私流
第102回 どすこい女相撲
第101回 いらっしゃい、よく来たね
第100回 緊急速報
第99回 雪がランラン
第98回 あけまして!

〜〜〜2021年〜〜〜

第97回 これで一年しめくくり
第96回 なぜにクーポン
第95回 MRを埋め込まれる!
第94回 男はバアサン、女はジイサン
第93回 私らゴチャマゼ人
第92回 シワについて
第91回 ひさびさの死刑廃止論
第90回 ふむ、私は順調に老化している
第89回 男社会のオンナのトク
第88回 宇宙旅行について
第87回 我が投票
第86回 悲喜交交で冬に入る
第85回 ダイアナはたまた貴船菊?
第84回 転んでコケて
第83回 堤防に穴が……
第82回 うつうつ
第81回 だいじな居場所
第80回 どうしてとめられないの?
第79回 ドーデモイイ問題
第78回 入れ墨のココロ
第77回 ダイブツにゴフン???
第76回 センタクテキフウフベッセイ
第75回 虚しい「平和の祭典」
第74回 ハワイの狐トウキョウの狐
第73回 怪しい外来語
第72回 貧乏草は野生草
第71回 謙虚な話
第70回 いまごろアニメに親しんで
第69回 ぐるんぐるん
第68回 好きでもないのに
第67回 打たなくていい理由
第66回 アルゴンキン族の月
第65回 芸人の緊急事態宣言
第64回 スカート男子に幸あれ
第63回 マンボウマンボ
第62回 かたわらの話
第61回 古新聞からティッシュまで
第60回 ひとのコトバ
第59回 スイスのステキなシステム
第58回 3月8日の朝に
第57回 花と人間の不思議な関係
第56回 スモモの木の下で
第55回 10年後の余震???
第54回 男の会議から女の会議へ
第53回 コロンボがいない国
第52回 足指自由宣言
第51回 ロウバイの日々
第50回 ワルガキ
第49回 おせっかいで団結!
第48回 木星と土星が接近すると
第47回 青空に白く光る
第46回 ガスレンジ新式?!
第45回 薬局の娘が……
第44回 転々流転の姓ながら
第43回 よろしうおたのもうします
第42回 奇っ怪!アメリカ式選挙
第41回 老いてなおハツラツ?
第40回 どうしてる?労働者諸君!
第39回 ひさびさの博士
第38回 タレント事務所に電話してみた
第37回 コロナと3大統領
第36回 不安なゴマカシ日本語
第35回 このごろの自殺
第34回 元子役の意見
第33回 今こそラジオ体操!
第32回 爺さんは婆さんだった
第31回 LGBTQ+
第30回 学歴詐称
第29回 嬉し恐ろし初体験
第28回 趣味はカネ儲け?
第27回 『雨』を歌えば
第26回 ツッパルことが男の……
第25回 連日の雨に
第24回 ひしひしと不確実性の時代
第23回 野球オンチなので
第22回 トランプ的思い上がり?
第21回 ウグイスはなんと鳴く?
第20回 昔「広告屋」今アドマン
第19回 ステキなステッキ
第18回 みいんなマスク
第17回 ただいま!雑記復活!
第16回 みなさんご無事で!!!
第15回 DT方式?!
第14回 ウイルスと風俗
第13回 私の問題・社会の問題
第12回 ワラビとカンゾウ
第11回 ウイルスまくひとカネまくひと
第10回 新型コロナウイルスお目見え!
第9回 新型コロナウイルスで流行る自粛
第8回 カードの脅迫
第7回 「仮釈放」の友
第6回 子抱き地蔵
第5回 マスクが消えた?!
第4回 確率論的津波評価、なぜ?
第3回 「次世代」なるもの
第2回 道玄坂の日の丸 
第1回 新年につきごあいさつをば

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