伊東市在住、おんな組組員・伊豆半島人を名乗る中山千夏さんの、身辺四方八方雑記!
伊豆新聞のシニア・ページに、2009年から毎週一回、連載されている長寿コラムを、同新聞のご協力で、おんな組用にアレンジ。今年からたっぷり転載していきます。
 
 
 

第3回 「次世代」なるもの

前回に続きまして新春東京見聞録、第2弾! で、いきなり最終回!
東京駅から青山までタクシーに乗った。そのタクシー。
免許もマイカーも持たない私は、車関係の知識にうとい。それでも、おや、またこれだ、とわかるような特色ある型。小さくて寸詰まりで、でも中は普通にスペースがあって、ドアの開閉がスライド式のやつ。色は黒。
あれは確か3年ほど前だったか、やはり東京駅で、初めてこの型のタクシーに乗った。それが去年あたりから急激に増えた気がする。伊東でも1、2台見かけるようになったから、全国的に流行っているのかな。でも、東京が圧倒的に多い。
タクシー利用歴は長いが、これまで、こんなに目立つ変化はなかったように思う。帰宅してから調べてみた。「タクシー、車種」でネット検索したら、真っ先にこんな見出しの記事が出た。

〈トヨタ“次世代タクシー”導入で、2020年東京の風景が激変する〉 

まさにあの車の写真がついている。記事の日付は16年の12月。翌17年に発売、とトヨタが発表したタクシー用の新モデル、「次世代タクシー専用車両」を詳しく取材して、〈いよいよ日本のタクシーが生まれ変わる〉と期待している。
やっぱり私が感じたとおり、タクシーの変化は3年ほど前からだった。そしてこれは2020年、つまりオリンピックに向けての「激変」だった。だからTOKYOが中心で、他府県ではあまり広がっていないのだろう。
ドアや運転関係についてなるほどと思える工夫がいろいろある。車椅子のまま乗れる工夫はデカシタ、デカシタ。でも技術的には可能でも、運転手さんや周囲のひとびとの理解と協力がたっぷりないと、なかなか実現できないんじゃないか? 車椅子のまま乗り降りするひとを見たことは、まだない。

ところで、助手席の背中にテレビ画面がついている(写真)のも新工夫なのかしら? 次世代型に限ったことかどうか知らないけれども、やはり3年ほど前から流行りだした気がする。
座席に座るや、面前に画面を突きつけられる感じ。画面には次々と金融やなんかのCMが流れる。スパイ映画によくある洗脳シーンが彷彿とする。
やがて画面をオフにする方法を覚えたから、洗脳の恐怖からは逃れたけれども、昔式ならただ乗って行き先を告げるだけですんだところを、「乗った時はいつもオンになっているけれど、私が降りたあとで自動でオンになるのかしら、それとも運転手さんの手元にスイッチがあるのかしら、それだと運転手さんの手間が増えて申し訳ないな」などと思い迷ったあげく、「でも洗脳はイヤだよ」と思い切って画面のオフ印にタッチする、という面倒が増えた。

そして思う。いやはや「次世代」なるものは、誰の便利、誰の歓迎を見越して開発されるのだろう?

伊豆新聞に連載中 その553(2020年1月22日掲載)


オフにした画面に私が……

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