伊東市在住、おんな組組員・伊豆半島人を名乗る中山千夏さんの、身辺四方八方雑記!
伊豆新聞のシニア・ページに、2009年から毎週一回、連載されている長寿コラムを、同新聞のご協力で、おんな組用にアレンジ。たっぷり転載していきます。
 
 
 

第131回 久々の東京行き

久しぶりに東京へ行った。
久しぶりも久しぶり、考えてみたら2年は行っていない。東京だけではない、この2年というもの、伊東をまったく出ていない。
この間、遠出のシゴトはお断りしてきた。ただひとつ、〈自費出版文化賞〉の選考だけは続けている。
ひとさまの作品を選考とは、私にはおこがましいことだけれど、市民運動の仲間だった歴史学者の色川大吉さんに指名されて、お引き受けした。
色川さんは庶民が自分の歴史を綴ることを「自分史」と呼んで尊び、それあってこそ真の、完全な歴史記録だ、と考えて、自分史を広める活動をしてらした。そのひとつとして「賞」を始めることとなり、選考委員のひとりになぜだか私を指名なさったわけだった。

その後、この会を運営するNPO法人〈日本自費出版ネットワーク〉の代表理事も引き受けた。もちろん実務はナシ、広告塔に過ぎない。効果があるかないか疑問だけれど、自費出版を大切な文化として、熱心に動く小さな出版社、印刷屋さん、編集者たちを手伝うのは気分がいい。
売らんかなの出版、売れてナンボの著者が横行するなかで、自費でもって自由な表現に取り組む著者を知るのも、気分がいい。
幸か不幸か私はチビの時から、商業演劇や商業音楽、そして商業出版に加担してきた。エグイ稼ぎはしなかったつもりだが、それらでクッテきたのは確かだ。今に一冊は自費出版して自分史を閉じたい、と思っている。

そうそう、色川さんは昨年9月7日、96歳で大往生された。初の自費出版作品『不知火海民衆史(上下巻)』が最後の著書だった。「自分史」を世に広め自費出版を応援した色川さんの、見事な締めくくりだったと思う。
賞の最終選考会は、25年前の第1回から、東京のさるホテルの会議室で開かれている。それが一昨年、昨年と中止になった。
いかにもコロナ君のせいである。文書のやりとりで賞を決定したが、今ひとつ淋しい。そこで今年は、用心しながら顔を合わせることにした。それで2年ぶりの東京行きとなったのだ。

いつもは伊東線で熱海へ、熱海から東海道線に乗る。今年は熱海から新幹線を使った。少しでも人中にいる時間を少なくするために。私、ワクチンは嫌いで打たないかわり、ほかの予防はしっかりしてます。
道中、人々もみんなマスクをし、駅も車内もコロナ対策に励んでいるのを見て、コロナマンエンを実感した。
新幹線の速さに今更ながら呆れた。景色がよく見えないから、つまらない。また東京が近づくにつれて、巨大ビルの連立にうんざりし、そのうえまだ盛んに建設している風景に唖然とする。人間は、自然界から見放されるわけだ、と納得する。
そして思う。目覚めて最初に見る風景は緑の山々、その間の小さな伊東の街、そして見晴るかす海と空。ココはなんて恵まれた世界なんだろう、と。


伊東駅1番線から

伊豆新聞に連載中 その681(2022年9月14日掲載)


第130回 利き手の考察
第129回 独裁党はデイリがお好き
第128回 深沢七郎ってひと
第127回 言論の自由社?
第126回 やたら暑い日々に
第125回 虫にも事変!
第124回 フォーク路地のコウタローさん
第123回 選挙はアブナイ
第122回 投票には行こう
第121回 老人と海
第120回 業者が作る系少女
第119回 正義があっても
第118回 草刈りをして
第117回 海苔のこと
第116回 若気の馬鹿力
第115回 子たちの集団移動
第114回 コトバの意と心
第113回 野放しの歌
第112回 あとは実行あるのみ!だが・・・
第111回 成人18歳に悩む
第110回 男のなかのオトコ

第109回 自分の場所
第108回 コロナに戦争
第107回 ソラマメの記憶
第106回 しかし3月
第105回 父、大往生す
第104回 開戦前夜のココロ
第103回 蕗味噌私流
第102回 どすこい女相撲
第101回 いらっしゃい、よく来たね
第100回 緊急速報
第99回 雪がランラン
第98回 あけまして!

〜〜〜2021年〜〜〜

第97回 これで一年しめくくり
第96回 なぜにクーポン
第95回 MRを埋め込まれる!
第94回 男はバアサン、女はジイサン
第93回 私らゴチャマゼ人
第92回 シワについて
第91回 ひさびさの死刑廃止論
第90回 ふむ、私は順調に老化している
第89回 男社会のオンナのトク
第88回 宇宙旅行について
第87回 我が投票
第86回 悲喜交交で冬に入る
第85回 ダイアナはたまた貴船菊?
第84回 転んでコケて
第83回 堤防に穴が……
第82回 うつうつ
第81回 だいじな居場所
第80回 どうしてとめられないの?
第79回 ドーデモイイ問題
第78回 入れ墨のココロ
第77回 ダイブツにゴフン???
第76回 センタクテキフウフベッセイ
第75回 虚しい「平和の祭典」
第74回 ハワイの狐トウキョウの狐
第73回 怪しい外来語
第72回 貧乏草は野生草
第71回 謙虚な話
第70回 いまごろアニメに親しんで
第69回 ぐるんぐるん
第68回 好きでもないのに
第67回 打たなくていい理由
第66回 アルゴンキン族の月
第65回 芸人の緊急事態宣言
第64回 スカート男子に幸あれ
第63回 マンボウマンボ
第62回 かたわらの話
第61回 古新聞からティッシュまで
第60回 ひとのコトバ
第59回 スイスのステキなシステム
第58回 3月8日の朝に
第57回 花と人間の不思議な関係
第56回 スモモの木の下で
第55回 10年後の余震???
第54回 男の会議から女の会議へ
第53回 コロンボがいない国
第52回 足指自由宣言
第51回 ロウバイの日々
第50回 ワルガキ
第49回 おせっかいで団結!
第48回 木星と土星が接近すると
第47回 青空に白く光る
第46回 ガスレンジ新式?!
第45回 薬局の娘が……
第44回 転々流転の姓ながら
第43回 よろしうおたのもうします
第42回 奇っ怪!アメリカ式選挙
第41回 老いてなおハツラツ?
第40回 どうしてる?労働者諸君!
第39回 ひさびさの博士
第38回 タレント事務所に電話してみた
第37回 コロナと3大統領
第36回 不安なゴマカシ日本語
第35回 このごろの自殺
第34回 元子役の意見
第33回 今こそラジオ体操!
第32回 爺さんは婆さんだった
第31回 LGBTQ+
第30回 学歴詐称
第29回 嬉し恐ろし初体験
第28回 趣味はカネ儲け?
第27回 『雨』を歌えば
第26回 ツッパルことが男の……
第25回 連日の雨に
第24回 ひしひしと不確実性の時代
第23回 野球オンチなので
第22回 トランプ的思い上がり?
第21回 ウグイスはなんと鳴く?
第20回 昔「広告屋」今アドマン
第19回 ステキなステッキ
第18回 みいんなマスク
第17回 ただいま!雑記復活!
第16回 みなさんご無事で!!!
第15回 DT方式?!
第14回 ウイルスと風俗
第13回 私の問題・社会の問題
第12回 ワラビとカンゾウ
第11回 ウイルスまくひとカネまくひと
第10回 新型コロナウイルスお目見え!
第9回 新型コロナウイルスで流行る自粛
第8回 カードの脅迫
第7回 「仮釈放」の友
第6回 子抱き地蔵
第5回 マスクが消えた?!
第4回 確率論的津波評価、なぜ?
第3回 「次世代」なるもの
第2回 道玄坂の日の丸 
第1回 新年につきごあいさつをば

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