伊東市在住、おんな組組員・伊豆半島人を名乗る中山千夏さんの、身辺四方八方雑記!
伊豆新聞のシニア・ページに、2009年から毎週一回、連載されている長寿コラムを、同新聞のご協力で、おんな組用にアレンジ。たっぷり転載していきます。
 
 
 

第54回 男の会議から女の会議へ

まず主なメンバーが議題を決め、議論から結論、採決まで会議の大筋を決める。
これをネマワシという。
会議はネマワシに沿って、議長役の采配で進行する。発言者も発言内容もおのずと限られ、その線を外れた発言は、フキソクハツゲンなどといって禁じられる。禁じられなくとも、会議に慣れた優良な参加者は、流れの邪魔になるような発言はしない。
それが会議というものだ。かつての私はそう思っていた。なんの疑問も感じずに。国会や、参加したことはないけれども株主総会の会議やいろいろな組織の運営にかかわる会議は、みんなそんなふうだと聞いていたからだ。
ところがある時はたと気がついた。「あれは男の会議だった!」。

ウーマンリブと呼ばれた女性解放運動の小さなグループに参加して、その会議を経験したからだ。それは、いわば不規則発言の連続だった。むろんネマワシはなく、進行役、まとめ役もしかと決まってはいない。結論がどうなるか、誰も知らない。話はあちこちへ飛ぶ。それでもいつしか結論が出る。
当初の私はおおいに戸惑ったものだ。もっとスムーズにいかないかなあ、これでは時間がかかってしょうがない。
ところが、2回3回と経験するうちに気がついたのだ。確かに時間はかかる。けれどもこの会議は、無口なひとや口下手なひとや弱気なひとを置いてきぼりにしない。無駄口や冗談も飛び交ううちに、全員の意見を検討し、思いがけない良案が出たりして結論にたどり着く。あるいは結論を先に送る。
会議が話し合いを意味するならば、これが本当の会議だろう。そして女ばかりだからこそ可能な女の会議だ。なにしろ女には井戸端会議の伝統があるのだから。

女ばかりの会議を経験して、やっと私はそう気がついた。思えば、それまで私が参加した会議は、市民運動のそれであっても8割がたは男であった。そして男たちは間違いなく、闘争的な男の感覚で会議の伝統を築いてきた。
大は国政から小は家政まで、あらゆる政治の中心から女を除外する、という世界的な流れの中で、そんな男の会議は作りあげられ、真の会議として固まったのだろう。女たちは時々、辛抱たまらなくなると井戸端会議で話し合い、井戸端から飛び出して、男の会議に口出ししてきたわけだ。
今、そのことへの反省が、あらゆる会議での女の比率を少なくとも40%にする、という国連の方針となったに違いない。そこにはすぐに戦争へとなだれる男の会議への反省があるだろう。であれば、ただ女の割合を増やしても意味がないのだ。会議そのものの質を女の会議へ、つまり真の話し合いへと変えなければ。
だから、ねえ、男らしい森喜朗さん、少々会議の能率は落ちても理事会に女を増やしましょうよ。もっともオリンピックが国家の戦いと化している今、会議への少々の女の増員が、平和をもたらす望みはないでしょうがね。

伊豆新聞に連載中 その54 (2021年2月10日掲載)


1月末日フクジュソウ会議始まる


第53回 コロンボがいない国
第52回 足指自由宣言
第51回 ロウバイの日々
第50回 ワルガキ
第49回 おせっかいで団結!
第48回 木星と土星が接近すると
第47回 青空に白く光る
第46回 ガスレンジ新式?!
第45回 薬局の娘が……
第44回 転々流転の姓ながら
第43回 よろしうおたのもうします
第42回 奇っ怪!アメリカ式選挙
第41回 老いてなおハツラツ?
第40回 どうしてる?労働者諸君!
第39回 ひさびさの博士
第38回 タレント事務所に電話してみた
第37回 コロナと3大統領
第36回 不安なゴマカシ日本語
第35回 このごろの自殺
第34回 元子役の意見
第33回 今こそラジオ体操!
第32回 爺さんは婆さんだった
第31回 LGBTQ+
第30回 学歴詐称
第29回 嬉し恐ろし初体験
第28回 趣味はカネ儲け?
第27回 『雨』を歌えば
第26回 ツッパルことが男の……
第25回 連日の雨に
第24回 ひしひしと不確実性の時代
第23回 野球オンチなので
第22回 トランプ的思い上がり?
第21回 ウグイスはなんと鳴く?
第20回 昔「広告屋」今アドマン
第19回 ステキなステッキ
第18回 みいんなマスク
第17回 ただいま!雑記復活!
第16回 みなさんご無事で!!!
第15回 DT方式?!
第14回 ウイルスと風俗
第13回 私の問題・社会の問題
第12回 ワラビとカンゾウ
第11回 ウイルスまくひとカネまくひと
第10回 新型コロナウイルスお目見え!
第9回 新型コロナウイルスで流行る自粛
第8回 カードの脅迫
第7回 「仮釈放」の友
第6回 子抱き地蔵
第5回 マスクが消えた?!
第4回 確率論的津波評価、なぜ?
第3回 「次世代」なるもの
第2回 道玄坂の日の丸 
第1回 新年につきごあいさつをば

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