伊東市在住、おんな組組員・伊豆半島人を名乗る中山千夏さんの、身辺四方八方雑記!
伊豆新聞のシニア・ページに、2009年から毎週一回、連載されている長寿コラムを、同新聞のご協力で、おんな組用にアレンジ。たっぷり転載していきます。
 
 
 

第49回 おせっかいで団結!

明けまして! めでたいかたも、めでたくないかたも、あらためましてよろしくおつきあい願います。
オオヤケのご挨拶に「あけましておめでとう」を辞めてから20年になるかしら。いつでもどこでも正月をめでたく迎えるひとばかりではない、とやっと思い至った。それでこの便利なご挨拶をやめにした。
2010年の正月は、伊豆一帯を襲った群発地震がようやくおさまったあとだった。後片付けやらまたいつくるかの恐れやらでメデタイどころの騒ぎではなかった。
翌年、2011年の正月はおだやかに明けたと思ったら、ほどなく3月11日、フクシマ原発の大事故。その原因になった地震をわずかながら感じもし、わずかながら放射能の余録をいただいた身としては、しんから暗くなった。以後、まったく後始末が進まず、被災者たちの救済もならず、放射能ゴミを作り続ける福島原発一帯が黒いシミとなっている日本に訪れる正月には、毎年はればれメデタイと言えなくなった。

その後も毎年のように各地で地震や台風の被害がある。それでも喉元過ぎればのならいで、ようやく少し明るくなってきたかな、と感じたところへ、なんたることか、前代未聞の疫病がやってきた。
2020年は新型コロナウイルスの襲来に始まり、その猛威に世界中が右往左往している間に暮れとなり、ウイルスは鎮まるどころかあちこちで変異したあげく、いっそう強力なウイルスへと変身して、日本でもこれまで最多の感染者、発病者、死者を数える日々のうちに正月を迎えることとなった。
メデタクない。まったくメデタクない。
母や祖母は太平洋戦争のなかで、政府は自分らの生命生活を守ってくれない、と思い知った。だから私らは、自分や我が子の生命をしっかり自分で守り、カネやシゴトも自分で確保しなければならない、と。そんな考えは、戦後生まれの若い私には、意固地なものに思えた。みんなで協力してイイ政府をつくればいいじゃないか。
だがコロナ禍への政府の対策を見ていて思った。母たちがそんな考えを持ったのもまったくムリはない。そもそもどんな政府も基本的に国家を守るために働くものであって、ひとびとを守りはしないのだ。国家さえ守れれば、国民の何%まで飢えていい、何%まで死んでいい、と考えるものなのだ。そしてその飢えていい、死んでいい国民に、自分を数える官僚や政治家はまずいない。

いやいや絶望してはいけない。だから私たちは奮起して、自分で自分を守ろう。母たちの考えから勇躍踏み出して、自分たちで自分たちの生命生活を守ろう。というより母たちだって小規模ながら、そうやって生き抜いたのだ。母が友人知人の生命生活を気にかけ、口出し手出しすることといったら、おせっかいに近かった。
そうだ、大規模にすることはない、おせっかいの規模でいい。自分たちで自分たちを守るしかない。

伊豆新聞に連載中 その599 (2021年 1月6日掲載)


みんなで雨の中


第48回 木星と土星が接近すると
第47回 青空に白く光る
第46回 ガスレンジ新式?!
第45回 薬局の娘が……
第44回 転々流転の姓ながら
第43回 よろしうおたのもうします
第42回 奇っ怪!アメリカ式選挙
第41回 老いてなおハツラツ?
第40回 どうしてる?労働者諸君!
第39回 ひさびさの博士
第38回 タレント事務所に電話してみた
第37回 コロナと3大統領
第36回 不安なゴマカシ日本語
第35回 このごろの自殺
第34回 元子役の意見
第33回 今こそラジオ体操!
第32回 爺さんは婆さんだった
第31回 LGBTQ+
第30回 学歴詐称
第29回 嬉し恐ろし初体験
第28回 趣味はカネ儲け?
第27回 『雨』を歌えば
第26回 ツッパルことが男の……
第25回 連日の雨に
第24回 ひしひしと不確実性の時代
第23回 野球オンチなので
第22回 トランプ的思い上がり?
第21回 ウグイスはなんと鳴く?
第20回 昔「広告屋」今アドマン
第19回 ステキなステッキ
第18回 みいんなマスク
第17回 ただいま!雑記復活!
第16回 みなさんご無事で!!!
第15回 DT方式?!
第14回 ウイルスと風俗
第13回 私の問題・社会の問題
第12回 ワラビとカンゾウ
第11回 ウイルスまくひとカネまくひと
第10回 新型コロナウイルスお目見え!
第9回 新型コロナウイルスで流行る自粛
第8回 カードの脅迫
第7回 「仮釈放」の友
第6回 子抱き地蔵
第5回 マスクが消えた?!
第4回 確率論的津波評価、なぜ?
第3回 「次世代」なるもの
第2回 道玄坂の日の丸 
第1回 新年につきごあいさつをば

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