伊東市在住、おんな組組員・伊豆半島人を名乗る中山千夏さんの、身辺四方八方雑記!
伊豆新聞のシニア・ページに、2009年から毎週一回、連載されている長寿コラムを、同新聞のご協力で、おんな組用にアレンジ。たっぷり転載していきます。
 
 
 

第99回 雪がランラン

なんと雪が降った! 
まだ松の内の正月6日。珍しく予報どおり、朝9時ごろからちらつきだして、水気の多そうなツブが大きくなったり小さくなったりしながら、夕方まで降り続いた。
うちの住所は伊東市松原なのだけれど、松原全域に降ったのではない。急坂を下った丸山公園あたりを境に、温度が1〜2度変わるのだ。雪はたいていそこから上だけに降る。たぶん伊豆半島の根元かいわいの山間部に住むみなさんは、同じ経験をしているだろう。
少しでも積もると、我が分譲地までの急坂がひとも車も通行困難になるので、難儀する。けれども予報に応じて少々の食料はビチクしてあったし、外出の予定も来客の予定も無いし、うきうきと何年ぶりかの雪を楽しんだ。

なぜか歌が出る。
〈雪がふる〜あなたは来ない〜〉
まずこれが出てくる。わりあい最近に知った歌だからかな。最近といってもアダモの歌唱なら1960年代、尾崎紀世彦なら2010年ごろか。
でもぜんぜんしっくりこない。この一節しか覚えてないし。

追ってすぐ出てくるのは、やはりこれ。
〈ゆうきやこんこんあられやこんこん……〉
少なくとも一番は全部歌える。これは古い。ほとんど生まれてすぐに知った。
文部省唱歌としての発表は、1911年とか。その歌詞を正しいとするなら、多くの物知りが言い募るとおり 〈雪やこんこ、アラレやこんこ〉 が正しいのかもしれないが、私はコンコンと覚えた。多くの同輩もコンコン派だろう。
コンコンでいいのだ、コンコンで。意味なんかどうでもいい。雪がさかんに降るのを見ていると、いかにもコンコンなのだから。〈犬は喜び庭駆け回る 猫は炬燵で丸くなる〉も生き生きと場面が浮かぶ。名歌だ!
でもねえ、犬といえばウチのチワワ、猫と聞けばヒーターの上のシャムをイメージする子どもには、まるでぴんとこないだろうな。少なくとも、冬も外の犬小屋にいた犬や、すぐ炬燵に潜り込む猫を見ていた私のようには。
ううむ、詩の伝達というものは実にムズカシイ。

これに次いで出てくるのは、こんな一節だ。
〈シロカニペ ランラン ピシカン コンカニペ ランラン ピシカン〉
アイヌの運動家に教えてもらった。フクロウが歌う歌の一節。文字を持たないアイヌが延々と口伝してきた物語のひとつにある。メロディは無いけれど、コトバの調子が、雪やコンコン、と同じなので、頭の同じ引き出しに入っているらしい。
日本語に訳せばシロカニペは銀、コンカニペは金、ピシカンは「周囲に」、そしてコンコンによく似たランランは「降る降る」ですって。
ちなみにアイヌ語で「雪が降る」は、ウパシ(雪)アシ(競争する)とか。なるほど! 盛んに降る雪を見上げると、天から競争してくるみたいだ。
さすが、雪と親しい民族のコトバだなあ。


ウパシアシ、ヤツデの葉もシロカニペ(1月6日 窓から写す)

伊豆新聞に連載中 その649(2022年1月12日掲載)


第98回 あけまして!

〜〜〜2021年〜〜〜

第97回 これで一年しめくくり
第96回 なぜにクーポン
第95回 MRを埋め込まれる!
第94回 男はバアサン、女はジイサン
第93回 私らゴチャマゼ人
第92回 シワについて
第91回 ひさびさの死刑廃止論
第90回 ふむ、私は順調に老化している
第89回 男社会のオンナのトク
第88回 宇宙旅行について
第87回 我が投票
第86回 悲喜交交で冬に入る
第85回 ダイアナはたまた貴船菊?
第84回 転んでコケて
第83回 堤防に穴が……
第82回 うつうつ
第81回 だいじな居場所
第80回 どうしてとめられないの?
第79回 ドーデモイイ問題
第78回 入れ墨のココロ
第77回 ダイブツにゴフン???
第76回 センタクテキフウフベッセイ
第75回 虚しい「平和の祭典」
第74回 ハワイの狐トウキョウの狐
第73回 怪しい外来語
第72回 貧乏草は野生草
第71回 謙虚な話
第70回 いまごろアニメに親しんで
第69回 ぐるんぐるん
第68回 好きでもないのに
第67回 打たなくていい理由
第66回 アルゴンキン族の月
第65回 芸人の緊急事態宣言
第64回 スカート男子に幸あれ
第63回 マンボウマンボ
第62回 かたわらの話
第61回 古新聞からティッシュまで
第60回 ひとのコトバ
第59回 スイスのステキなシステム
第58回 3月8日の朝に
第57回 花と人間の不思議な関係
第56回 スモモの木の下で
第55回 10年後の余震???
第54回 男の会議から女の会議へ
第53回 コロンボがいない国
第52回 足指自由宣言
第51回 ロウバイの日々
第50回 ワルガキ
第49回 おせっかいで団結!
第48回 木星と土星が接近すると
第47回 青空に白く光る
第46回 ガスレンジ新式?!
第45回 薬局の娘が……
第44回 転々流転の姓ながら
第43回 よろしうおたのもうします
第42回 奇っ怪!アメリカ式選挙
第41回 老いてなおハツラツ?
第40回 どうしてる?労働者諸君!
第39回 ひさびさの博士
第38回 タレント事務所に電話してみた
第37回 コロナと3大統領
第36回 不安なゴマカシ日本語
第35回 このごろの自殺
第34回 元子役の意見
第33回 今こそラジオ体操!
第32回 爺さんは婆さんだった
第31回 LGBTQ+
第30回 学歴詐称
第29回 嬉し恐ろし初体験
第28回 趣味はカネ儲け?
第27回 『雨』を歌えば
第26回 ツッパルことが男の……
第25回 連日の雨に
第24回 ひしひしと不確実性の時代
第23回 野球オンチなので
第22回 トランプ的思い上がり?
第21回 ウグイスはなんと鳴く?
第20回 昔「広告屋」今アドマン
第19回 ステキなステッキ
第18回 みいんなマスク
第17回 ただいま!雑記復活!
第16回 みなさんご無事で!!!
第15回 DT方式?!
第14回 ウイルスと風俗
第13回 私の問題・社会の問題
第12回 ワラビとカンゾウ
第11回 ウイルスまくひとカネまくひと
第10回 新型コロナウイルスお目見え!
第9回 新型コロナウイルスで流行る自粛
第8回 カードの脅迫
第7回 「仮釈放」の友
第6回 子抱き地蔵
第5回 マスクが消えた?!
第4回 確率論的津波評価、なぜ?
第3回 「次世代」なるもの
第2回 道玄坂の日の丸 
第1回 新年につきごあいさつをば

HOME