伊東市在住、おんな組組員・伊豆半島人を名乗る中山千夏さんの、身辺四方八方雑記!
伊豆新聞のシニア・ページに、2009年から毎週一回、連載されている長寿コラムを、同新聞のご協力で、おんな組用にアレンジ。たっぷり転載していきます。
 
 
 

第51回 ロウバイの日々

ロウバイが咲きましたよ!
母と祖母が植木屋さんと相談して植えるまで、知らなかった花木だが、もう何十回も開花を見て、すっかりおなじみ。
ロウは、黄色い花の色艶がロウソクの蝋に似ているから。木のそばに立つとほのかにいい香りがする。そのことも咲く時期も、枝に直接花がつく様子もウメに似ているので、名にバイ(梅)がつく。うちではウメより少し早く咲く。今ウメはまだ1、2輪。ロウバイはもう7分咲くらい。
名に梅とついても分類学上、ウメの親戚ではないらしい。ウメはバラ目バラ科サクラ属。ロウバイはクスノキ目ロウバイ科ロウバイ属。
なんとウメはバラの親戚で、ロウバイはクスノキの親戚だというのだから、周章狼狽してしまう。そう、最初にこの花の名を聞いた時には、まず狼狽というコトバが頭に浮かんで、はて、おたおた戸惑い慌てるとは、どんな花か、と思ったものだ。

こんなノンキなことを言っていられるのも世間から遠いおかげです。すなわちコロナウイルスから遠いおかげ。感染を恐れるのは我が身のみ、ほかに介護を要する老人も病人も子どももおらず。ありがたいことにいるのは壮年の同居人。住処は人里離れている。今の世で、こんな身の上は贅沢だ。
今や同年代の多くは自分がじゅうぶん老齢であるうえに、もっと上の親を抱えている。そんなひとり東京の友人が昨日日曜日、コボシの電話をかけてきた。母上が上級の要介護になって以来、ひとり娘のうえに自身、虚弱な彼女には窮状の荒波続きなのだが、さらに。
「このところママの具合が落ち着いて、やっと一息つけるようになったな、と思っていたのよね。ケアマネジャーと話し合いながらの介護のローテーションもうまく回り始めたし」
彼女は介護保険にいくらか自費を足して、4つばかりの業者を選び、医療担当、入浴担当、オシメ取替え担当、などの介護者を雇っていた。加えて一人のお手伝いさん。それでなんとか回していた。

「ところが今日、ケアマネから電話があって、医療を担当していた医師と看護師がコロナ陽性になった、すぐには代わりを派遣できないというのよ」
いろいろ聞いてみると、コロナ禍が医療や介護におよぼしている大きな困難と恐怖が彼女を襲っているのだとわかった。ニュースでしか知らなかったもろもろ──個人の肩にのしかかる肉体的経済的な介護の負担、民間に丸投げの行政の無力、PCR検査さえままならない人手不足施設不足の医療、シゴトを失いなんの保証も受けられない個人事業者、そんな問題がすべて彼女にふりかかっている。
「まあ自分とママとお手伝いさんはコロナにかかっていないみたい。それだけが光明ね」
だといいが。医療者がPCR検査に来宅するのは火曜日、結果が出るまでさらに10日。その間、来宅を拒否する事業者もある。
ノンキな私にはただ狼狽するしかない友の苦境であった。

伊豆新聞に連載中 その601 (2021年1月20日掲載)


かれんなロウバイ


第50回 ワルガキ
第49回 おせっかいで団結!
第48回 木星と土星が接近すると
第47回 青空に白く光る
第46回 ガスレンジ新式?!
第45回 薬局の娘が……
第44回 転々流転の姓ながら
第43回 よろしうおたのもうします
第42回 奇っ怪!アメリカ式選挙
第41回 老いてなおハツラツ?
第40回 どうしてる?労働者諸君!
第39回 ひさびさの博士
第38回 タレント事務所に電話してみた
第37回 コロナと3大統領
第36回 不安なゴマカシ日本語
第35回 このごろの自殺
第34回 元子役の意見
第33回 今こそラジオ体操!
第32回 爺さんは婆さんだった
第31回 LGBTQ+
第30回 学歴詐称
第29回 嬉し恐ろし初体験
第28回 趣味はカネ儲け?
第27回 『雨』を歌えば
第26回 ツッパルことが男の……
第25回 連日の雨に
第24回 ひしひしと不確実性の時代
第23回 野球オンチなので
第22回 トランプ的思い上がり?
第21回 ウグイスはなんと鳴く?
第20回 昔「広告屋」今アドマン
第19回 ステキなステッキ
第18回 みいんなマスク
第17回 ただいま!雑記復活!
第16回 みなさんご無事で!!!
第15回 DT方式?!
第14回 ウイルスと風俗
第13回 私の問題・社会の問題
第12回 ワラビとカンゾウ
第11回 ウイルスまくひとカネまくひと
第10回 新型コロナウイルスお目見え!
第9回 新型コロナウイルスで流行る自粛
第8回 カードの脅迫
第7回 「仮釈放」の友
第6回 子抱き地蔵
第5回 マスクが消えた?!
第4回 確率論的津波評価、なぜ?
第3回 「次世代」なるもの
第2回 道玄坂の日の丸 
第1回 新年につきごあいさつをば

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