伊東市在住、おんな組組員・伊豆半島人を名乗る中山千夏さんの、身辺四方八方雑記!
伊豆新聞のシニア・ページに、2009年から毎週一回、連載されている長寿コラムを、同新聞のご協力で、おんな組用にアレンジ。たっぷり転載していきます。
 
 
 

第41回 老いてなおハツラツ?!

健康食品のCMに影響されているのかな、あるいはそういう年齢になったのかな、最近、寿命や元気について考えることが多くなった。
寿命、これは完全に運であって、当人の生き方、努力、健康食品を食う食わない、などとはかかわりない、というのが一応の結論です。
そして元気、これは肉体が健康であるのもさることながら、生きる意欲が旺盛であること、それでこそ、見た目にも元気でいられる。
そこで、元気のお手本は、と世の中を見回してみるに、これがまあ、世界の上層、古い言葉で言えば雲上人に集中しているんですね。たとえばエリザベスさんを始めとする、各国王様の類。はたまたトランプさんを始めとする各国首長の類。彼らには生きる意欲、ヤル気が溢れて見える。実際、長寿で丈夫でもある。

人間としての作りに、彼らと我らと、そう違いがあるとは思わないので、異なるのは生きるうえでのなんらかの条件に違いない。経済的な苦労がない、特上の医療がある、というのがまず彼らの元気の元であるのは確実だろう。
老いてなお、日銭の心配、医療費の心配に追われていたのでは、元気になれない。見た目も侘びしくなろうというもの。
それに加えて、自らの存在意義への自信、これが大きなポイントだろう。王様や大統領やなんかには、定年がない。定年を迎えてがっくりする、ということがない。その上、取り巻きや世間がいろいろ用をもってくる。自らの存在意義を確固と感じずにはいられない。
政治やら伝統やら道化師やらが「私は世の中に必要な人間なのだ」と、よってたかって信じさせてくれる。
いっぽうシモジモは、次の世代を立派に育てて、さて、その子らに会社の椅子やら、食卓の上座やらを譲ってしまったら、あ、世の中に私の席が無い、とガクゼンとすることになる。イノチはあってもどこにも席がない、そぞろ淋しいなあ、となって元気がなくなる。

10年以上前に、友だちが怒っていた。認知症に突入した父上のこと。明け方、部屋のドアに何かがガタンとぶつかった。押し開いてみると、父上が廊下にごろりと転がっていた。驚いて「どうしたんだ」と言うと、父上、寝転んだままジロリと見上げて「お前にゃあ、わかんねえよ」。
元々、上から目線の父だった、認知症になってもまだ上からか、と息子は腹を立て、それがまたおかしくて友人一同、大笑いしたものだ。
しかし昨今、考える。父上が何を「わからないよ」と言ったのか。「この淋しさはなんなのか、自分でさえわからないんだ、ましてお前にわかるもんか」の心だったのではなかろうか? 
てなわけで、一般シモジモのわれらが老いてもハツラツとあるために、教訓。自分は、誰よりも自分にとって存在意義がある、と信じること。これ、元気の元だけではなく、真理じゃやないかな?

伊豆新聞に連載中 その591 (2020年11月2日掲載)


野菊のように……


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第3回 「次世代」なるもの
第2回 道玄坂の日の丸 
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