伊東市在住、おんな組組員・伊豆半島人を名乗る中山千夏さんの、身辺四方八方雑記!
伊豆新聞のシニア・ページに、2009年から毎週一回、連載されている長寿コラムを、同新聞のご協力で、おんな組用にアレンジ。たっぷり転載していきます。
 
 
 

第112回 あとは実行あるのみ!だが・・・

ワラビを摘み食べるたびに思う。この地に居を構えた母と祖母はエライ!
ワラビを摘む楽しさ、摘んだばかりの新鮮なワラビを椿の葉でアク抜きし、おしたしにして食べる時の舌の楽しさは、どんなごちそうにも替えがたい。
暖かくなると、家の周りに山野草(つまり雑草)が茂りだすこの地ならではの贅沢だ。郊外ならまだしも、都心に暮らしていたころには思いもしないことだった。
野草を摘んで食べる、とはいかにも風流みたいだが、考えてみると、ごく原始的な行為だ。煮たり焼いたりしないだけで、サル類なんかも日常的にやっている。

動物には限らない。アリ類やミツバチ類など昆虫も、野山の植物の葉をかじり、花の蜜や花粉を集めて食用にする。
思えば彼らはサル類より文化的である。集めたものを、自分ではなく幼虫のために貯蔵したりする。すごいアリになると、集めた葉を噛み砕いておいて、そこに生えるキノコを食用するというのだから、まさに農業までやっている。
そして彼らの優れた分業社会は、人間を超えている。子産みに専念する女王を中心に、数多の個体が、保育、食産、軍事などきっちり分担して運営している。実に合理的だ。

それに比べるとサル類などの社会は、たいへん原始的ではないか。人間はいったいどちらに近いのだろう? 
生物学的にはもちろんサルだ。だから本来、サルのように小人数の社会しか形成できないのではなかろうか。そして同じ森にいくつもの社会ができると、抗争が起きる。社会のどれかが解体し、構成員は路頭に迷う。
これは彼らの考えがセコイのではない、そういう本能に従っているだけだ。彼らも考えているらしいが、社会をどう作ったらいいか、なんて考えるのは人間だけだろう。むろんそんなことを話し合えるのも。
ハチやアリにしても、身振り手振り羽音でかなり複雑な伝達をするらしいし、その結果としての集団行動は彼らの社会に益するし、またサル類と違って同種が争うことはまず、ない。しかしこれも彼らの考えが優れているわけではなくて、本能によっているだけだ。

人間のいっぷう変わったところは、考えがある、というところだ。荒っぽく言えば、その考えでは、ハチやアリのような社会がよい、となったのだろう。そこで個体数の多い社会、きっちり分業する社会を目指してきた。
ところが本来サル寄りなので、うまくいかない。あちこちでボス同士が抗争を起こす。またハチやアリのように、決められた役割に滅私で従う本能がないので、反抗者やハグレ者が続出し、ひとつ社会のなかでもすぐ抗争が起きる……ああ、社会不安と戦争はわれらの宿命、と諦めるしかないのだろうか?
いや、いい考えはあるのだ。日本国憲法第9条。あとは実行あるのみ。私は実行できるけど、はてさて社会のボスたちは?


畑の隅で野草化したチューリップ(4月13日写す)

伊豆新聞に連載中 その662(2022年4月20日掲載)


第111回 成人18歳に悩む
第110回 男のなかのオトコ

第109回 自分の場所
第108回 コロナに戦争
第107回 ソラマメの記憶
第106回 しかし3月
第105回 父、大往生す
第104回 開戦前夜のココロ
第103回 蕗味噌私流
第102回 どすこい女相撲
第101回 いらっしゃい、よく来たね
第100回 緊急速報
第99回 雪がランラン
第98回 あけまして!

〜〜〜2021年〜〜〜

第97回 これで一年しめくくり
第96回 なぜにクーポン
第95回 MRを埋め込まれる!
第94回 男はバアサン、女はジイサン
第93回 私らゴチャマゼ人
第92回 シワについて
第91回 ひさびさの死刑廃止論
第90回 ふむ、私は順調に老化している
第89回 男社会のオンナのトク
第88回 宇宙旅行について
第87回 我が投票
第86回 悲喜交交で冬に入る
第85回 ダイアナはたまた貴船菊?
第84回 転んでコケて
第83回 堤防に穴が……
第82回 うつうつ
第81回 だいじな居場所
第80回 どうしてとめられないの?
第79回 ドーデモイイ問題
第78回 入れ墨のココロ
第77回 ダイブツにゴフン???
第76回 センタクテキフウフベッセイ
第75回 虚しい「平和の祭典」
第74回 ハワイの狐トウキョウの狐
第73回 怪しい外来語
第72回 貧乏草は野生草
第71回 謙虚な話
第70回 いまごろアニメに親しんで
第69回 ぐるんぐるん
第68回 好きでもないのに
第67回 打たなくていい理由
第66回 アルゴンキン族の月
第65回 芸人の緊急事態宣言
第64回 スカート男子に幸あれ
第63回 マンボウマンボ
第62回 かたわらの話
第61回 古新聞からティッシュまで
第60回 ひとのコトバ
第59回 スイスのステキなシステム
第58回 3月8日の朝に
第57回 花と人間の不思議な関係
第56回 スモモの木の下で
第55回 10年後の余震???
第54回 男の会議から女の会議へ
第53回 コロンボがいない国
第52回 足指自由宣言
第51回 ロウバイの日々
第50回 ワルガキ
第49回 おせっかいで団結!
第48回 木星と土星が接近すると
第47回 青空に白く光る
第46回 ガスレンジ新式?!
第45回 薬局の娘が……
第44回 転々流転の姓ながら
第43回 よろしうおたのもうします
第42回 奇っ怪!アメリカ式選挙
第41回 老いてなおハツラツ?
第40回 どうしてる?労働者諸君!
第39回 ひさびさの博士
第38回 タレント事務所に電話してみた
第37回 コロナと3大統領
第36回 不安なゴマカシ日本語
第35回 このごろの自殺
第34回 元子役の意見
第33回 今こそラジオ体操!
第32回 爺さんは婆さんだった
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第30回 学歴詐称
第29回 嬉し恐ろし初体験
第28回 趣味はカネ儲け?
第27回 『雨』を歌えば
第26回 ツッパルことが男の……
第25回 連日の雨に
第24回 ひしひしと不確実性の時代
第23回 野球オンチなので
第22回 トランプ的思い上がり?
第21回 ウグイスはなんと鳴く?
第20回 昔「広告屋」今アドマン
第19回 ステキなステッキ
第18回 みいんなマスク
第17回 ただいま!雑記復活!
第16回 みなさんご無事で!!!
第15回 DT方式?!
第14回 ウイルスと風俗
第13回 私の問題・社会の問題
第12回 ワラビとカンゾウ
第11回 ウイルスまくひとカネまくひと
第10回 新型コロナウイルスお目見え!
第9回 新型コロナウイルスで流行る自粛
第8回 カードの脅迫
第7回 「仮釈放」の友
第6回 子抱き地蔵
第5回 マスクが消えた?!
第4回 確率論的津波評価、なぜ?
第3回 「次世代」なるもの
第2回 道玄坂の日の丸 
第1回 新年につきごあいさつをば

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