伊東市在住、おんな組組員・伊豆半島人を名乗る中山千夏さんの、身辺四方八方雑記!
伊豆新聞のシニア・ページに、2009年から毎週一回、連載されている長寿コラムを、同新聞のご協力で、おんな組用にアレンジ。たっぷり転載していきます。
 
 
 

第140回 「男社会」いまむかし

ご同輩はどうなのだろうか?
時々、我が人生を振り返ってみて感動する。よくぞ大怪我することも、ヒトサマに大怪我させることもなくやってきたものだ、と。
刃傷沙汰にも交通事故にもかかわったことがない。セクハラもパワハラもされたことない、したこともない。
男社会に生きてきて、これはたいへん幸運なことだったと思う。
あ、読者諸姉諸兄、「男社会」というのは、いわゆるピラミッド型社会のこと。てっぺんでパワハラするのが男と決まっているわけではないけれど、現状、たいていのピラミッドのてっぺんが男なので、男社会と呼ぶまでのこと。

特に、私が小学生時代からハタチ代まで主にいた芸能界は、セクハラ・パワハラの温床だった。耳にし目にしたセクハラの多くはパワハラとセットになっていた。売り出すために、あるいは踏み潰されないために、ピラミッドのてっぺんから手を差し伸べてもらいたい者たちは、その手がなにをしようと我慢するもの、喜びさえするものだ。
特にナニナニ劇団と称されるような集団のトップときたら、演出家にせよ役者にせよ、まるで暴君そのものだった。

1970年代、欧米からウーマンリブの嵐が吹いてきてから、様子が変わった。当時盛んな学生運動や市民運動も男社会だったから、そこから転げ落ちた女たちが女性解放に向かって駆け出した。その勢いに巻き込まれて、私も駆けた。なにかにつけて男より女が下に置かれる、時には無視されることに対する、いわば人間としてのホコリだけが動力の韋駄天走りだった。
走ってよかった。
私は人間だぞ、と怒っている仲間、それも私以上に怒っている仲間がたくさんいる、と知ることができたからだ。いっしょに走って、それまで、男社会の眼を借りて、多少とも女蔑視だった私は、完全に平等の眼を持つことができた、と思う。
もちろん性的指向は相変わらず異性なので、いまだに男にやや甘いところはあるけどね、あはははは。

それから約半世紀。「女性解放運動」に表立って異を唱えるテッペンは見えなくなって嬉しい。政界にまでセクハラ事件の報道が多いのも、「表沙汰」にできる世の中になったアカシ、と嬉しい。
しかし、強姦シーンや女の入浴場面を意味もなく長々とやるのなど観ると、うんざりする。こんなの再放送するな、と。また、相変わらず夫を盛んに「主人」と呼ぶ人物が登場する再放送を観てもしかり。妻は召使いにあらず、夫を「主人」と呼ぶのはやめよう、と私たちは言い募ったものだった。
そういえば、伊東で友だちになったひとりは夫を「ダーリン」、もうひとりは宿六を縮めて「ヤド」と呼んでいる。むろん親愛を込めて。ふたりとも私よりいくつかオネエサンなのに、見事なり。
若者文化を垣間見ると、私たちの時代よりはるかに性差別は薄れているようだ。ひどい暴力夫が時折ニュースになるけれど、ニュースになるだけマシ、と思うことにしている。昔は夫の暴力なんて珍しくなかったものね。


うちのシシトウ今年は豊作

伊豆新聞に連載中 その690(2022年11月23日掲載)


第139回 女ならでは
第138回 カードはお持ちで?
第137回 大病院観察記
第136回 ぼくらが子役だったとき
第135回 認定こども園??
第134回 死のライン
第133回 シェルブールの雨傘
第132回 パパ活選挙制度
第131回 久々の東京行き
第130回 利き手の考察
第129回 独裁党はデイリがお好き
第128回 深沢七郎ってひと
第127回 言論の自由社?
第126回 やたら暑い日々に
第125回 虫にも事変!
第124回 フォーク路地のコウタローさん
第123回 選挙はアブナイ
第122回 投票には行こう
第121回 老人と海
第120回 業者が作る系少女
第119回 正義があっても
第118回 草刈りをして
第117回 海苔のこと
第116回 若気の馬鹿力
第115回 子たちの集団移動
第114回 コトバの意と心
第113回 野放しの歌
第112回 あとは実行あるのみ!だが・・・
第111回 成人18歳に悩む
第110回 男のなかのオトコ

第109回 自分の場所
第108回 コロナに戦争
第107回 ソラマメの記憶
第106回 しかし3月
第105回 父、大往生す
第104回 開戦前夜のココロ
第103回 蕗味噌私流
第102回 どすこい女相撲
第101回 いらっしゃい、よく来たね
第100回 緊急速報
第99回 雪がランラン
第98回 あけまして!

〜〜〜2021年〜〜〜

第97回 これで一年しめくくり
第96回 なぜにクーポン
第95回 MRを埋め込まれる!
第94回 男はバアサン、女はジイサン
第93回 私らゴチャマゼ人
第92回 シワについて
第91回 ひさびさの死刑廃止論
第90回 ふむ、私は順調に老化している
第89回 男社会のオンナのトク
第88回 宇宙旅行について
第87回 我が投票
第86回 悲喜交交で冬に入る
第85回 ダイアナはたまた貴船菊?
第84回 転んでコケて
第83回 堤防に穴が……
第82回 うつうつ
第81回 だいじな居場所
第80回 どうしてとめられないの?
第79回 ドーデモイイ問題
第78回 入れ墨のココロ
第77回 ダイブツにゴフン???
第76回 センタクテキフウフベッセイ
第75回 虚しい「平和の祭典」
第74回 ハワイの狐トウキョウの狐
第73回 怪しい外来語
第72回 貧乏草は野生草
第71回 謙虚な話
第70回 いまごろアニメに親しんで
第69回 ぐるんぐるん
第68回 好きでもないのに
第67回 打たなくていい理由
第66回 アルゴンキン族の月
第65回 芸人の緊急事態宣言
第64回 スカート男子に幸あれ
第63回 マンボウマンボ
第62回 かたわらの話
第61回 古新聞からティッシュまで
第60回 ひとのコトバ
第59回 スイスのステキなシステム
第58回 3月8日の朝に
第57回 花と人間の不思議な関係
第56回 スモモの木の下で
第55回 10年後の余震???
第54回 男の会議から女の会議へ
第53回 コロンボがいない国
第52回 足指自由宣言
第51回 ロウバイの日々
第50回 ワルガキ
第49回 おせっかいで団結!
第48回 木星と土星が接近すると
第47回 青空に白く光る
第46回 ガスレンジ新式?!
第45回 薬局の娘が……
第44回 転々流転の姓ながら
第43回 よろしうおたのもうします
第42回 奇っ怪!アメリカ式選挙
第41回 老いてなおハツラツ?
第40回 どうしてる?労働者諸君!
第39回 ひさびさの博士
第38回 タレント事務所に電話してみた
第37回 コロナと3大統領
第36回 不安なゴマカシ日本語
第35回 このごろの自殺
第34回 元子役の意見
第33回 今こそラジオ体操!
第32回 爺さんは婆さんだった
第31回 LGBTQ+
第30回 学歴詐称
第29回 嬉し恐ろし初体験
第28回 趣味はカネ儲け?
第27回 『雨』を歌えば
第26回 ツッパルことが男の……
第25回 連日の雨に
第24回 ひしひしと不確実性の時代
第23回 野球オンチなので
第22回 トランプ的思い上がり?
第21回 ウグイスはなんと鳴く?
第20回 昔「広告屋」今アドマン
第19回 ステキなステッキ
第18回 みいんなマスク
第17回 ただいま!雑記復活!
第16回 みなさんご無事で!!!
第15回 DT方式?!
第14回 ウイルスと風俗
第13回 私の問題・社会の問題
第12回 ワラビとカンゾウ
第11回 ウイルスまくひとカネまくひと
第10回 新型コロナウイルスお目見え!
第9回 新型コロナウイルスで流行る自粛
第8回 カードの脅迫
第7回 「仮釈放」の友
第6回 子抱き地蔵
第5回 マスクが消えた?!
第4回 確率論的津波評価、なぜ?
第3回 「次世代」なるもの
第2回 道玄坂の日の丸 
第1回 新年につきごあいさつをば

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