伊東市在住、おんな組組員・伊豆半島人を名乗る中山千夏さんの、身辺四方八方雑記!
伊豆新聞のシニア・ページに、2009年から毎週一回、連載されている長寿コラムを、同新聞のご協力で、おんな組用にアレンジ。たっぷり転載していきます。
 
 
 

第114回 コトバの意と心

〈ことばは掴めないけれど/木々をゆする風のようにうたうことばがある/変幻自在な水のようにつたうことばがある〉(小山修一詩集『風待ち港』「ひと粒の種」より)
ほんとだ。だからコトバは歌や詩にもっとも適している。そして歌や詩は、それを受け取った者の感性によって完成する。
あ、ダジャレになってしまった、ふざけているわけではない、大真面目にそう思う。どんなにファンの多い有名な歌や詩でも、受け取った者の感性に合わなければ、気の抜けたビールだ。
だから私は若い頃、いや中年を過ぎても、詩、が苦手だった。我が強いせいか諦めが悪いせいか、こちらの意図のままに伝わらなければイヤだったのだ。
しかしその態度は、コトバの本質……意よりも心をよく伝える、という本質に逆らう無益な態度である、と考えるようになった。それにつれて、詩と散文との仕分けも薄れていった。

当「雑記」はもとより詩ではない。散文に違いないが、コトバの本質によって、心や気分も伝わる、と信じて書いている。
いかにもコトバは〈掴めない〉。コトバによって、心は旺盛に伝わるけれども、意(意味や意図)が正確に伝わるわけではない。それがコトバの本質なのだ。

だからね、コトバで伝えるのに最も向いていないのは、法律の類。国会に入って、それまで遠かった法律の類を読むようになり、呆れたものだ。
なんとしつこく念入りに意を限る言い回しをするものか、と。あまりにその手筈が念入りなので、法律家でなければ理解できない言い回しも少なくない。
そうしなければ「誤読」や「曲解」が野放しになって、人間社会を律し取り締まる法律としての役に立たないのだ。
なぜなら法律文も詩文と同じコトバで記され、コトバとは本質として〈掴めない〉ものだから。
その本質が、法律文の「誤読」や「曲解」を産む。日本が憲法第9条を保持していながら、これだけの軍事大国にのし上がってきたのも、コトバの本質を悪用した「曲解」の仕業だ。

ところで、法律文もコトバである以上、意だけでなりたっているのではない。そこにはコトバの本質として多少とも心がある。
憲法第9条には法律文としては旺盛な心がある。それは2度と戦争に巻き込まれたくない、絶対に戦火にまみれるのはイヤだ、という多くのタミの心だ。作者が誰であれ、この法律文はその心を表現している。私はその心に共鳴する。
法律文をよく理解するには、その意だけでなく、その心をも知ることが何より大切だろう。
一方、詩のコトバにも本質として意がある。掴みにくいながらに、詩にも意がある。意のない詩なんてありえない。冒頭に挙げた詩集にも意がある。
伊東市在住のこの詩人は、伊豆を、伊豆での暮らしをこよなく愛している、それを伝えたい。そんな意をも私は受け取り、共鳴しているのだ。


シャクナゲ満開でも寒い日(4月28日 筆者写す)

伊豆新聞に連載中 その664 (2022年5月4日掲載)


第113回 野放しの歌
第112回 あとは実行あるのみ!だが・・・
第111回 成人18歳に悩む
第110回 男のなかのオトコ

第109回 自分の場所
第108回 コロナに戦争
第107回 ソラマメの記憶
第106回 しかし3月
第105回 父、大往生す
第104回 開戦前夜のココロ
第103回 蕗味噌私流
第102回 どすこい女相撲
第101回 いらっしゃい、よく来たね
第100回 緊急速報
第99回 雪がランラン
第98回 あけまして!

〜〜〜2021年〜〜〜

第97回 これで一年しめくくり
第96回 なぜにクーポン
第95回 MRを埋め込まれる!
第94回 男はバアサン、女はジイサン
第93回 私らゴチャマゼ人
第92回 シワについて
第91回 ひさびさの死刑廃止論
第90回 ふむ、私は順調に老化している
第89回 男社会のオンナのトク
第88回 宇宙旅行について
第87回 我が投票
第86回 悲喜交交で冬に入る
第85回 ダイアナはたまた貴船菊?
第84回 転んでコケて
第83回 堤防に穴が……
第82回 うつうつ
第81回 だいじな居場所
第80回 どうしてとめられないの?
第79回 ドーデモイイ問題
第78回 入れ墨のココロ
第77回 ダイブツにゴフン???
第76回 センタクテキフウフベッセイ
第75回 虚しい「平和の祭典」
第74回 ハワイの狐トウキョウの狐
第73回 怪しい外来語
第72回 貧乏草は野生草
第71回 謙虚な話
第70回 いまごろアニメに親しんで
第69回 ぐるんぐるん
第68回 好きでもないのに
第67回 打たなくていい理由
第66回 アルゴンキン族の月
第65回 芸人の緊急事態宣言
第64回 スカート男子に幸あれ
第63回 マンボウマンボ
第62回 かたわらの話
第61回 古新聞からティッシュまで
第60回 ひとのコトバ
第59回 スイスのステキなシステム
第58回 3月8日の朝に
第57回 花と人間の不思議な関係
第56回 スモモの木の下で
第55回 10年後の余震???
第54回 男の会議から女の会議へ
第53回 コロンボがいない国
第52回 足指自由宣言
第51回 ロウバイの日々
第50回 ワルガキ
第49回 おせっかいで団結!
第48回 木星と土星が接近すると
第47回 青空に白く光る
第46回 ガスレンジ新式?!
第45回 薬局の娘が……
第44回 転々流転の姓ながら
第43回 よろしうおたのもうします
第42回 奇っ怪!アメリカ式選挙
第41回 老いてなおハツラツ?
第40回 どうしてる?労働者諸君!
第39回 ひさびさの博士
第38回 タレント事務所に電話してみた
第37回 コロナと3大統領
第36回 不安なゴマカシ日本語
第35回 このごろの自殺
第34回 元子役の意見
第33回 今こそラジオ体操!
第32回 爺さんは婆さんだった
第31回 LGBTQ+
第30回 学歴詐称
第29回 嬉し恐ろし初体験
第28回 趣味はカネ儲け?
第27回 『雨』を歌えば
第26回 ツッパルことが男の……
第25回 連日の雨に
第24回 ひしひしと不確実性の時代
第23回 野球オンチなので
第22回 トランプ的思い上がり?
第21回 ウグイスはなんと鳴く?
第20回 昔「広告屋」今アドマン
第19回 ステキなステッキ
第18回 みいんなマスク
第17回 ただいま!雑記復活!
第16回 みなさんご無事で!!!
第15回 DT方式?!
第14回 ウイルスと風俗
第13回 私の問題・社会の問題
第12回 ワラビとカンゾウ
第11回 ウイルスまくひとカネまくひと
第10回 新型コロナウイルスお目見え!
第9回 新型コロナウイルスで流行る自粛
第8回 カードの脅迫
第7回 「仮釈放」の友
第6回 子抱き地蔵
第5回 マスクが消えた?!
第4回 確率論的津波評価、なぜ?
第3回 「次世代」なるもの
第2回 道玄坂の日の丸 
第1回 新年につきごあいさつをば

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