伊東市在住、おんな組組員・伊豆半島人を名乗る中山千夏さんの、身辺四方八方雑記!
伊豆新聞のシニア・ページに、2009年から毎週一回、連載されている長寿コラムを、同新聞のご協力で、おんな組用にアレンジ。たっぷり転載していきます。
 
 
 

第177回 選考の季節

ぎょぎょ、歯が抜けたぁ! 先週、ここで、「歯は丈夫、全員無事」と書いたばかりなのに、こんな報告するハメに。
別に報告せんでもいい、とお思いかもしれませんが、しないとどうも具合が悪い。今や全員無事ではないのだから、ウソついたみたいで。

右上の奥から2番目です。一昨昨日の昼、パンを咀嚼中、あれ? なんだこの固いのは? ん? え! 歯? 歯じゃん! という感じで抜けた。痛くもなんともなく、予感もなく。
歯ってこんなふうに抜けるものなんですかね? 
やはり少々さみしくて、長寿だったうちのネコたちが歯を落とした時の様子を思い出した。いかにもがっかりしたように、うなだれてたっけ。でも彼ら同様、すぐに立ち直って「なんだ乳歯が抜けた時と変わらないな。もしかするとまた生え変わるかも」と期待している。
以上、報告終わり。

さて、今年もねじり鉢巻で本を読む季節がやってきた。〈日本自費出版文化賞〉の選考、というやつだ。
歴史学者の色川大吉さんに誘われて、選考委員に参加したのは前世紀のこと。
第1回が1998年、今年は第26回になる。よく続いたなあ。
賞が始まってまもなく結束されたNPO法人〈日本自費出版ネットワーク(JSN)〉会員有志の働きのたまものだ。

日頃、自費出版になんらかの役割でかかわっている彼らが、第1次選考、第2次選考を終え、「入選作」を最終選考委員の元へ送る。研究評論、地方史、自分史などの部門のうち、私は小説部門を担当している。
おこがましいにも程があるけれど、ほかに専門があるでなし、このくらいしかお手伝いできないので仕方ない。
「自費出版で庶民の歴史記録を」という故・色川さんの願いに強く賛同しているので、なにかしらお役に立ちたいのだ。

しかし応募者がその趣旨をよく理解している、とは限らない。特に詩歌小説など文芸作品では、その趣旨に合うものは少ない。私も当初は、ただデキの良し悪しで選考していたが、なぜ自費出版なのか、を考えるようになった。
今回はまた一段と考えた。

ひとを文芸に、そして自費出版に駆り立てるものとはなんだろう?

私自身がそうだからよくわかるのだけれど、作文が好き、なぜか書きたい、書いたら誰かに読んでもらいたい、それがあらゆる創作の根だろう。
つまり創作欲と発表欲だ。
これが世の資本主義経済と結びついたのが商業出版になる。当然その業界は売れるか売れないかを第一とする。そこでハネられたから自費出版、というのが我が賞としては最も無惨なケースである。

そして最も素晴らしいのは、文芸作品として上等であるうえに、自費出版の意義を満たしている作品だ。つまり「商業出版でも通用する作品」ではなく、「自費出版でなければならない作品」なのだ。

なんらかの事情で読者が限られる、しかしこの社会にどうしても伝えたい文芸。
今回は、とりわけそういう作品を見つけることができた、と思うのだが。


キノコ?!です。今年は色々やたらに生えた(うちの前で8月17日撮影)

伊豆新聞に連載中 その727 (2023年8月23日掲載)


第176回 
第175回 原爆が落ちた日
第174回 Mちゃんの悟り
第173回 オオミズアオ
第172回 人生のターニングポイント
第171回 後期高齢突入エンゼツ
第170回 私の番号なんのため?
第169回 誰がために鐘は鳴る!
第168回 友のこと

第167回 今度生まれかわったら 
第166回 「わか見え」反対!
第165回 極楽トンボのゴクラクチョウカ考
第164回 ひねっても出ない時に
第163回 ありのままに
第162回 「下界」ぶらぶらの巻
第161回 日曜朝の異変
第160回 チエちゃん
第159回 ムツゴロウと益田一
第158回 センセイのこと
第157回 警察発表を読む時
第156回 韓日かたがわり考
第155回 地域色もいいけれど
第154回 メザシと白いごはんさえあれば
第153回 キモチワルイのこと
第152回 げにフツウとは
第151回 「兄弟」か「他人」か
第150回 千里の道もティッシュから
第149回 ちょっと劇場へ
第148回 遊ぶは人間
第147回 矢崎泰久さん逝く
第146回 自然に生き抜く!

〜〜〜2022年〜〜〜

第145回 冬の扇風機
第144回 ヒミコいわく
第143回 %の魔術
第142回 情報操作とSNS
第141回 スポーツ好きのみなさんへ
第140回 「男社会」いまむかし
第139回 女ならでは
第138回 カードはお持ちで?
第137回 大病院観察記
第136回 ぼくらが子役だったとき
第135回 認定こども園??
第134回 死のライン
第133回 シェルブールの雨傘
第132回 パパ活選挙制度
第131回 久々の東京行き
第130回 利き手の考察
第129回 独裁党はデイリがお好き
第128回 深沢七郎ってひと
第127回 言論の自由社?
第126回 やたら暑い日々に
第125回 虫にも事変!
第124回 フォーク路地のコウタローさん
第123回 選挙はアブナイ
第122回 投票には行こう
第121回 老人と海
第120回 業者が作る系少女
第119回 正義があっても
第118回 草刈りをして
第117回 海苔のこと
第116回 若気の馬鹿力
第115回 子たちの集団移動
第114回 コトバの意と心
第113回 野放しの歌
第112回 あとは実行あるのみ!だが・・・
第111回 成人18歳に悩む
第110回 男のなかのオトコ

第109回 自分の場所
第108回 コロナに戦争
第107回 ソラマメの記憶
第106回 しかし3月
第105回 父、大往生す
第104回 開戦前夜のココロ
第103回 蕗味噌私流
第102回 どすこい女相撲
第101回 いらっしゃい、よく来たね
第100回 緊急速報
第99回 雪がランラン
第98回 あけまして!

〜〜〜2021年〜〜〜

第97回 これで一年しめくくり
第96回 なぜにクーポン
第95回 MRを埋め込まれる!
第94回 男はバアサン、女はジイサン
第93回 私らゴチャマゼ人
第92回 シワについて
第91回 ひさびさの死刑廃止論
第90回 ふむ、私は順調に老化している
第89回 男社会のオンナのトク
第88回 宇宙旅行について
第87回 我が投票
第86回 悲喜交交で冬に入る
第85回 ダイアナはたまた貴船菊?
第84回 転んでコケて
第83回 堤防に穴が……
第82回 うつうつ
第81回 だいじな居場所
第80回 どうしてとめられないの?
第79回 ドーデモイイ問題
第78回 入れ墨のココロ
第77回 ダイブツにゴフン???
第76回 センタクテキフウフベッセイ
第75回 虚しい「平和の祭典」
第74回 ハワイの狐トウキョウの狐
第73回 怪しい外来語
第72回 貧乏草は野生草
第71回 謙虚な話
第70回 いまごろアニメに親しんで
第69回 ぐるんぐるん
第68回 好きでもないのに
第67回 打たなくていい理由
第66回 アルゴンキン族の月
第65回 芸人の緊急事態宣言
第64回 スカート男子に幸あれ
第63回 マンボウマンボ
第62回 かたわらの話
第61回 古新聞からティッシュまで
第60回 ひとのコトバ
第59回 スイスのステキなシステム
第58回 3月8日の朝に
第57回 花と人間の不思議な関係
第56回 スモモの木の下で
第55回 10年後の余震???
第54回 男の会議から女の会議へ
第53回 コロンボがいない国
第52回 足指自由宣言
第51回 ロウバイの日々
第50回 ワルガキ
第49回 おせっかいで団結!
第48回 木星と土星が接近すると
第47回 青空に白く光る
第46回 ガスレンジ新式?!
第45回 薬局の娘が……
第44回 転々流転の姓ながら
第43回 よろしうおたのもうします
第42回 奇っ怪!アメリカ式選挙
第41回 老いてなおハツラツ?
第40回 どうしてる?労働者諸君!
第39回 ひさびさの博士
第38回 タレント事務所に電話してみた
第37回 コロナと3大統領
第36回 不安なゴマカシ日本語
第35回 このごろの自殺
第34回 元子役の意見
第33回 今こそラジオ体操!
第32回 爺さんは婆さんだった
第31回 LGBTQ+
第30回 学歴詐称
第29回 嬉し恐ろし初体験
第28回 趣味はカネ儲け?
第27回 『雨』を歌えば
第26回 ツッパルことが男の……
第25回 連日の雨に
第24回 ひしひしと不確実性の時代
第23回 野球オンチなので
第22回 トランプ的思い上がり?
第21回 ウグイスはなんと鳴く?
第20回 昔「広告屋」今アドマン
第19回 ステキなステッキ
第18回 みいんなマスク
第17回 ただいま!雑記復活!
第16回 みなさんご無事で!!!
第15回 DT方式?!
第14回 ウイルスと風俗
第13回 私の問題・社会の問題
第12回 ワラビとカンゾウ
第11回 ウイルスまくひとカネまくひと
第10回 新型コロナウイルスお目見え!
第9回 新型コロナウイルスで流行る自粛
第8回 カードの脅迫
第7回 「仮釈放」の友
第6回 子抱き地蔵
第5回 マスクが消えた?!
第4回 確率論的津波評価、なぜ?
第3回 「次世代」なるもの
第2回 道玄坂の日の丸 
第1回 新年につきごあいさつをば

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