伊東市在住、おんな組組員・伊豆半島人を名乗る中山千夏さんの、身辺四方八方雑記!
伊豆新聞のシニア・ページに、2009年から毎週一回、連載されている長寿コラムを、同新聞のご協力で、おんな組用にアレンジ。たっぷり転載していきます。
 
 
 

第130回 利き手の考察

野球音痴の私でも、大谷翔平という野球選手の名は知っている。
翔平イノチ、みたいな友だちが、それもオジサンがとても多い。なかには彼を「孫」と呼んでニヤケるのもいるし、別件でかけてきた電話で、やたらに彼の自慢をするやつもいる。
そんなオジサンのひとりが言うには、「翔平は右で投げて左で打つ、そういう選手はほかにもいるが、そのどちらもすごい威力なのは大谷だけだ、というのも彼は小さい頃左利きだった、母親は右に直そうとシツケをしたが、野球好きの父親は少年野球を作って息子を入れ、野球は左でいい、と言って、左でやらせた、その結果、大谷は日常生活では右利き、野球では両利きの天才選手になったのダ」
オジサンの翔平礼賛はまだまだ続く。退屈しながら聞いていて、ふと疑問が浮かんだ。
そういえば人類の約90%は右利きだというが、なぜそうなったのだろう? 考えてみた。

ざっと言って、人体を動かす脳というものは、左右に分かれる。その右側半分、右脳は人体の左側を司り、左半分の左脳は右側を司る。首のところで左右から出る神経の束が交差しているから、そうなるそうな。
サル類の利き手についての研究は、まだそんなに進んでいないらしいが、その段階では、特に右利きとも左利きとも言えないようだ。とすると、サルから進化した過程のどこかで、人類の大半が右利きになった。
利き手という特色が、人類だけのものとするなら、それには、やはり人類だけのほかの特色が絡んでいる、のではなかろうか?
人類の特色、といえば、複雑な言語を操って物事を伝え合うこと、そして想像力を働かせて空想したり芸術作品を作ったりすることだろう。
興味深いことに、脳医学に言わせると、そのふたつの能力は、左脳と右脳に分かれている。左脳が言語や論理的思考を受け持ち、右脳が想像や直感を受け持っている、という。

してみると人類は、左脳によって言語を活用し論理的に動くことで発展し、それにつれて左脳と右手との連携も強まって右利きが主流になったのではあるまいか?
だとすると、左利きが極端に少数派なのは、右脳が左脳ほど活用されてこなかったため、ということになる。
なるほど、空想は度が過ぎるとビョーキになって治療されてしまうし、どんなに面白いアニメ作家もどんなに素晴らしい芸術家も、それらを言語で伝えたり論理的に扱って儲けたりする人々がたくさんいなければ、生きていけない。人類社会が圧倒的に右利きとなった、これが誘引ではなかろうか?
ああ、なんだか人類とは味気ないものだなあ。
ちなみに私、生まれついての右利きです。若い頃、飲み屋のカウンターで右端の壁際に座った時、箸を使いにくくて往生して、しばらく、左も使えるように自主連したことがある。少しはマシになったけれど、いまだに人類多数派です。


我が左手の芸

伊豆新聞に連載中 その680 (2022年9月7日掲載)


第129回 独裁党はデイリがお好き
第128回 深沢七郎ってひと
第127回 言論の自由社?
第126回 やたら暑い日々に
第125回 虫にも事変!
第124回 フォーク路地のコウタローさん
第123回 選挙はアブナイ
第122回 投票には行こう
第121回 老人と海
第120回 業者が作る系少女
第119回 正義があっても
第118回 草刈りをして
第117回 海苔のこと
第116回 若気の馬鹿力
第115回 子たちの集団移動
第114回 コトバの意と心
第113回 野放しの歌
第112回 あとは実行あるのみ!だが・・・
第111回 成人18歳に悩む
第110回 男のなかのオトコ

第109回 自分の場所
第108回 コロナに戦争
第107回 ソラマメの記憶
第106回 しかし3月
第105回 父、大往生す
第104回 開戦前夜のココロ
第103回 蕗味噌私流
第102回 どすこい女相撲
第101回 いらっしゃい、よく来たね
第100回 緊急速報
第99回 雪がランラン
第98回 あけまして!

〜〜〜2021年〜〜〜

第97回 これで一年しめくくり
第96回 なぜにクーポン
第95回 MRを埋め込まれる!
第94回 男はバアサン、女はジイサン
第93回 私らゴチャマゼ人
第92回 シワについて
第91回 ひさびさの死刑廃止論
第90回 ふむ、私は順調に老化している
第89回 男社会のオンナのトク
第88回 宇宙旅行について
第87回 我が投票
第86回 悲喜交交で冬に入る
第85回 ダイアナはたまた貴船菊?
第84回 転んでコケて
第83回 堤防に穴が……
第82回 うつうつ
第81回 だいじな居場所
第80回 どうしてとめられないの?
第79回 ドーデモイイ問題
第78回 入れ墨のココロ
第77回 ダイブツにゴフン???
第76回 センタクテキフウフベッセイ
第75回 虚しい「平和の祭典」
第74回 ハワイの狐トウキョウの狐
第73回 怪しい外来語
第72回 貧乏草は野生草
第71回 謙虚な話
第70回 いまごろアニメに親しんで
第69回 ぐるんぐるん
第68回 好きでもないのに
第67回 打たなくていい理由
第66回 アルゴンキン族の月
第65回 芸人の緊急事態宣言
第64回 スカート男子に幸あれ
第63回 マンボウマンボ
第62回 かたわらの話
第61回 古新聞からティッシュまで
第60回 ひとのコトバ
第59回 スイスのステキなシステム
第58回 3月8日の朝に
第57回 花と人間の不思議な関係
第56回 スモモの木の下で
第55回 10年後の余震???
第54回 男の会議から女の会議へ
第53回 コロンボがいない国
第52回 足指自由宣言
第51回 ロウバイの日々
第50回 ワルガキ
第49回 おせっかいで団結!
第48回 木星と土星が接近すると
第47回 青空に白く光る
第46回 ガスレンジ新式?!
第45回 薬局の娘が……
第44回 転々流転の姓ながら
第43回 よろしうおたのもうします
第42回 奇っ怪!アメリカ式選挙
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第40回 どうしてる?労働者諸君!
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第35回 このごろの自殺
第34回 元子役の意見
第33回 今こそラジオ体操!
第32回 爺さんは婆さんだった
第31回 LGBTQ+
第30回 学歴詐称
第29回 嬉し恐ろし初体験
第28回 趣味はカネ儲け?
第27回 『雨』を歌えば
第26回 ツッパルことが男の……
第25回 連日の雨に
第24回 ひしひしと不確実性の時代
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第21回 ウグイスはなんと鳴く?
第20回 昔「広告屋」今アドマン
第19回 ステキなステッキ
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第17回 ただいま!雑記復活!
第16回 みなさんご無事で!!!
第15回 DT方式?!
第14回 ウイルスと風俗
第13回 私の問題・社会の問題
第12回 ワラビとカンゾウ
第11回 ウイルスまくひとカネまくひと
第10回 新型コロナウイルスお目見え!
第9回 新型コロナウイルスで流行る自粛
第8回 カードの脅迫
第7回 「仮釈放」の友
第6回 子抱き地蔵
第5回 マスクが消えた?!
第4回 確率論的津波評価、なぜ?
第3回 「次世代」なるもの
第2回 道玄坂の日の丸 
第1回 新年につきごあいさつをば

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