伊東市在住、おんな組組員・伊豆半島人を名乗る中山千夏さんの、身辺四方八方雑記!
伊豆新聞のシニア・ページに、2009年から毎週一回、連載されている長寿コラムを、同新聞のご協力で、おんな組用にアレンジ。たっぷり転載していきます。
 
 
 

第31回 LGBTQ+

初めて聞いた時にはサンドイッチの一種かと思った。BLTサンドイッチというのがあるので。Bベーコン、Lレタス、Tトマトをはさんだやつで、なかなかイケる。
だからLGBTというのも、てっきりその仲間かと。まあったく、昔は難しい漢字熟語の読み方に悩まされ、今は英語の頭文字言葉を覚えるのに苦労する。次々と出てくるんだもの。
今や読者の多くもご存知だろう。Lレズビアン(性愛の対象が同性である女)・Gゲイ(性愛の対象が同性である男)・Bバイセクシュアル(性愛の対象が同性異性両方であるひと)・Tトランスジェンダー(自分の肉体の性に違和感があるひと)。これ、やっと覚えたら、最近はLGBTQ+が主流だって。やれやれ。

Qはクエスチョニング(自分の性愛の方向をまだ決定できない、もしくはまだ決定したくないので、???状態のひと)とキュアの頭文字。キュアは、もとは「正常」から見て性のありかたが怪しいひとに対する差別的な悪口の英語だった。日本語で言えば、「へんなヤツ」、「ヘンタイ」みたいな。逆にそれを差別される側が積極的に使うようになった。「そうだよ、私ヘンなヤツ、ヘンタイだよ、それがなにか?」という感じで。「+」は「人間の性愛には、そのほかにもいろいろあって多種多様」の心らしい。
まったくのところ、ひとがどんな性向だろうが、大きなお世話だと思う。強姦やストーカーはもってのほかだけれどね。相手も合意で平和にやるなら、誰が誰をどう愛したって、いい。
それにLGBTQ+の存在は、人間らしさの証明ではなかろうか? 自分の肉体の性に違和感を抱いたり、自分の性愛がどういう方向なのか決めかねたり、総じて自身の肉体の特質に、やすやすと従えないというのは、人間ならではのことだろう。
少なくとも、生まれ持った肉体の性愛衝動のままに、強姦に走ってしまうような「正常」よりは、はるかに正しく人間らしいと思う。そして誇らしく感じるけれども、多分にわずらわしくもある。

庭のザクロが今年はたくさん実をつけた。これは花ザクロであって、花は咲くけれど実は成らない、と母は言っていた。珍しくひとつ成ったのを食べたのは何年前だったろうか。以後、成ってもひとつだったのが、今年は10を越す勢い。おそらく昨年、木々の茂りを大々的に整理したのがよかったのだろう。以来、このザクロの樹、せいせいした、と呟きながら、盛んに花を実をつけたように見える。
むろん、そんなことはあるまい。植物はただ、生まれながらの性質を、環境に合わせて発揮するだけだ。自分が花や実をつけることに、疑問や悩みをもつことはない。それでいて、花咲き実がなり根が張って、子孫を生み育てていける。環境が変わったり老いたりすれば、ただどたりと倒れて腐るだけだ。
そのすっきり簡単であること、うらやましい限りだなあ。

伊豆新聞に連載中 その581 (2020年8月26日掲載)


今年のザクロまだ青い(8月23日)


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第29回 嬉し恐ろし初体験
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第26回 ツッパルことが男の……
第25回 連日の雨に
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第22回 トランプ的思い上がり?
第21回 ウグイスはなんと鳴く?
第20回 昔「広告屋」今アドマン
第19回 ステキなステッキ
第18回 みいんなマスク
第17回 ただいま!雑記復活!
第16回 みなさんご無事で!!!
第15回 DT方式?!
第14回 ウイルスと風俗
第13回 私の問題・社会の問題
第12回 ワラビとカンゾウ
第11回 ウイルスまくひとカネまくひと
第10回 新型コロナウイルスお目見え!
第9回 新型コロナウイルスで流行る自粛
第8回 カードの脅迫
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第4回 確率論的津波評価、なぜ?
第3回 「次世代」なるもの
第2回 道玄坂の日の丸 
第1回 新年につきごあいさつをば

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