伊東市在住、おんな組組員・伊豆半島人を名乗る中山千夏さんの、身辺四方八方雑記!
伊豆新聞のシニア・ページに、2009年から毎週一回、連載されている長寿コラムを、同新聞のご協力で、おんな組用にアレンジ。たっぷり転載していきます。
 
 
 

第46回 ガスレンジ新式?!

うちのガス屋さんは、毎年、秋に展示会をする。あ、うちのガス屋さん、というのはヘンだと思われるかも知れないので、ちょっと説明を。
我が分譲地は、開闢以来、市の水道が無い。都市ガスも無い。蛇口から出る水は井戸水、これは自治会で管理運営している。街の水道よりはるかにうまい水だ。
ガスはプロパン。これも文句ない。各個別で契約している会社が供給も管理もきちんとやってくれる。半世紀近く同じガス屋さんを頼んでいるので、担当者たちとすっかり顔なじみになっていて、かくかくの人間がガスを引き受けてくれている、という実感がある。都市ガスでは、こうはいかない。都会暮らしのころは、ガスを管理するひとたちのことなど、考えたこともなく、ただガス栓をひねっていた。

さてそのガス屋さん、ご多分に漏れず、コロナ集団感染を避けて、今年の展示会は見送ることにした。その報せとともに「期間限定感謝セール」とやらのパンフレットを持ってきた。世が平穏なら会場に展示する商品が載っている。
世が平穏なら、展示会場には出向かない私たちも、外出自主規制生活のつれづれに、パンフレットをながめる。そして―。
ちょうどいい、30余年使った我が家のレンジはかなり危ない、お、これ、すごい値引きだ、わ、オマケもついてくる、セール期間に間に合うか、合う合う、と一同(といってもふたりだが)盛り上がって買うことに決めた。
かくして先週水曜日、うちの台所にはピッカピカのガスレンジが出現した。工事の時、旧来のレンジを取り外していた若い人が叫んだそうだ。
「これ1988年製ですよ、ボクより年上だ!」
ううむ、こちらは88年より後に生まれた人間がオトナになって、ガスレンジの取替え作業などこなしていることがショックなのだが。

ショックといえば、ガスレンジの進歩には驚いた。ゴトクを退けると、ツルンとしたテーブルになってしまうのはいいとして、なんと、点火用のダイヤルがひとつも無いのである。カチッと押す、チチチと種火がつく、それを見てダイヤルをひねる、ガスが出てボッと引火する、というあのダイヤルが無い。
かわりに絵や字のついた小さな制御盤みたいなのがある。これを操って火を点ける。むろんダイヤルでやっていた火力調節も制御盤でする。というより、コンロの真ん中についている丸い金属が、鍋やなんかの重量を感じたら火を点けるが、感じなければ点けない。温度も察知して、これ以上は危険、と判断したらガスを止める。そういう安全第一設計であるらしい。
ま、88年以後に生まれた人間には珍しくないのだろうけれど。
家人はマニュアルと首っ引きでレンジを操る練習をしている。私は日頃、台所から遠いこともあって、まだ一度も操作したことがない。問題は網焼きができないことだ。この正月、大好きなモチの網焼きをどうするか、考えなければ。

伊豆新聞に連載中 その596 (2020年12月9日掲載)


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第34回 元子役の意見
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第18回 みいんなマスク
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第12回 ワラビとカンゾウ
第11回 ウイルスまくひとカネまくひと
第10回 新型コロナウイルスお目見え!
第9回 新型コロナウイルスで流行る自粛
第8回 カードの脅迫
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第3回 「次世代」なるもの
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