伊東市在住、おんな組組員・伊豆半島人を名乗る中山千夏さんの、身辺四方八方雑記!
伊豆新聞のシニア・ページに、2009年から毎週一回、連載されている長寿コラムを、同新聞のご協力で、おんな組用にアレンジ。たっぷり転載していきます。
 
 
 

第25回 連日の雨に

今朝も雨。細い谷川の水が増量して音も常の倍になり、そこへ木々の葉から葉へと落ちる雫の音が重なる。負けじと鋭いウグイスのサエズリが警報のように。
一昨日(4日)から警報つきの大雨が断続している。特に九州、熊本や鹿児島がひどく、4日朝のニュースから衝撃的な洪水の動画が並んでいる。今日は宮崎の被害ニュースが大きい。いずれもちょっと思い入れのある場所なので、気になる。
特に熊本には、わずかながら親戚がいる。何年か前の大雨では、花屋をやっていた親戚の店が、大きな被害を受けたようだ。
「ようだ」というのは、親戚として水臭いようだが、実際、彼らとの付き合いはさほど濃くない。祖母と母が他界してからは、なお薄い。

母方の祖母が熊本の農家の出だった。一村が親戚でなっているような一族の本家で、戦前は小作人がいただの、女学校ではほかの子から離れた特別席を与えられただの、曾祖母は武家の出でいつもオヒキズリの着物だっただのいうのが、祖母の自慢だった。菊池市にあるその跡は、祖母の弟が引き継いでいる。祖母の死には伊豆までかけつけた彼も、今は亡い。サッサ・カズミ(佐々一水)といういかにも彼の地らしい名のおだやかなひとだった。
また隣町の山鹿市には、私の父、中山さんの一家が住んでいる。これもまた水臭い言い方だが、実際、そういう関係なのだから仕方ない。
母は、父つまり私の祖父の仕事の関係で、大阪っ子として育った。それが、戦争で熊本を頼って山鹿に疎開した。戦後も居続けるつもりで一青年と結婚、私を産んだ。2年ほどで離婚し、中山さんと再婚した。いわゆるバツ2。負けた。私はバツ1に過ぎない。

養父にDVを受けた話など聞くと、つくづく私はついていた、と思う。陽気な父だった。よく遊んでくれた。母より父が好きだった。父母が離婚する時に事実を知ったが、それまで実父と信じこんでいた。知ってからは、よくぞ血縁の無いコを、ああまで大事に育ててくれたものだ、と感謝の思いだけが湧いた。実父に会いたい、などとは少しも思わなかった。
それは多分、当事16歳の私の人生が充実していたからだろう。シゴトが面白かったし、いい恋人もいた。考えることがたくさんあった。そうでなかったら、よくドラマにあるように、実の父にこだわったかもしれない。
養父は母の従姉妹、カズミさんの娘と再婚している。だから中山さんとは今も親戚だ。母の姪の長男をなんというのか、とにかくその中山一郎クンは東京にいて、たまに伊東にも遊びにくる。主たる交流はSNSを通してだ。
パソコンしない父とは滅多に交流しない。ゆっくり会ったのは3年ほど前が最後。年賀状で達者を知り、ほっとする。洪水のニュースにそわそわする。
今回も山鹿は大丈夫みたいだ。連日の雨は湿った思いをひき連れてくる。

伊豆新聞に連載中 その575 (2020年7月8日掲載)


ヒルザキツキミソウにも雨


第24回 ひしひしと不確実性の時代
第23回 野球オンチなので
第22回 トランプ的思い上がり?
第21回 ウグイスはなんと鳴く?
第20回 昔「広告屋」今アドマン
第19回 ステキなステッキ
第18回 みいんなマスク
第17回 ただいま!雑記復活!
第16回 みなさんご無事で!!!
第15回 DT方式?!
第14回 ウイルスと風俗
第13回 私の問題・社会の問題
第12回 ワラビとカンゾウ
第11回 ウイルスまくひとカネまくひと
第10回 新型コロナウイルスお目見え!
第9回 新型コロナウイルスで流行る自粛
第8回 カードの脅迫
第7回 「仮釈放」の友
第6回 子抱き地蔵
第5回 マスクが消えた?!
第4回 確率論的津波評価、なぜ?
第3回 「次世代」なるもの
第2回 道玄坂の日の丸 
第1回 新年につきごあいさつをば

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