伊東市在住、おんな組組員・伊豆半島人を名乗る中山千夏さんの、身辺四方八方雑記!
伊豆新聞のシニア・ページに、2009年から毎週一回、連載されている長寿コラムを、同新聞のご協力で、おんな組用にアレンジ。たっぷり転載していきます。
 
 
 

第57回 花と人間の不思議な関係

いい季節になりました、私にとっては。上岡龍太郎さんのようなひとにとっては、どうということもないのかもしれない。
昔、シゴトでいっしょに春のやまと路を歩いた。沿道の草花にいちいち感動し、興奮して名を呼ぶ私を見て言ったのだ。
「よう知ってはりまんなあ! 私ら、どれ見てもハナ。それだけ。ハナ、ハナ、ハナ、どれもハナ」
花を愛でないひとは、どうも男性に多いようだ。その原因は、男性と女性の進化の違いにあるのだろう、たぶん。

太古の爬虫類や鳥類は、赤・緑・青・紫外線の4色それぞれを感じる4つの細胞を持っていたそうだ(以下しばらく、すべて「そうだ」が付くが、省略!)。爬虫類と共通の祖先から進化したわれら哺乳類も、最初はこの4つの細胞を持っていた。ところが夜行性の生活を続けるうちに、2つを失い、しばらくするとまた3つになり、とややこしい進化を経て、まずメスが赤・緑・青の3色を感知するようになった。そしてオスもまた私たちと同じく3色を感知するようになった……そうだ。
性によるこの違いは、べつにメスがエライわけではない。色を感じる細胞とその働きが、雌雄を決める性染色体と関連しているから。色覚異常とその遺伝に、女性と男性で違いがあるのも、そのためだ。

それにしてもひとにとって花が美しいのは、なぜなのか? ある説によると、なんたることか、それは美味そうだからだ、ということになる!
われらの祖先は、アフリカの森の上を渡り歩いて暮らしていた時期があった。その時、木の実だけでなく、花も食べた。葉や枝のなかにある花を探して食べた。それで、ほかの哺乳類よりも一段と色彩感覚が発達した、のだそうな。
あ、美味そうなのがある、という喜びが、人間独自の美意識なるものの誕生となり、花と出会うたびに私の心が弾むことへと、発展したのかもしれない。
しかし??? リンゴやミカンやビワの実も、花なみに色鮮やかで美しく、ひとの目につく。木の実にはそのメリットがある。ひと目を引いて食ってもらえば、タネまきの助けになるからだ。

同じように花は、昆虫の気を引くように進化してきた。ハチなどは、われわれより感じる色の数が少ない。そんな昆虫の目で見ると、どんな花も、濃淡の模様があるだけで、それが雄しべ雌しべがある中央に注目を集めるカタチになっている。それと蜜の香りとが昆虫にアピールして、受粉の手伝いをすることになる。つまり、花は昆虫を集めるように進化してきた。
しかし、花はなぜ人間の目をひくような色カタチに進化してきたのかしらん? 花にとってどんなメリットがあるのだろう?
われらの祖先にはただ食われてしまうだけ。私たちについては、ただその美意識を刺激するだけ。食われはしなくても、チョキンと切られて花瓶に活けられるだけ。考えれば考えるほど、花々は謎めいて、一段と美しい。


庭でチョキンと。

伊豆新聞に連載中 その607(2021年3月3日掲載)


第56回 スモモの木の下で
第55回 10年後の余震???
第54回 男の会議から女の会議へ
第53回 コロンボがいない国
第52回 足指自由宣言
第51回 ロウバイの日々
第50回 ワルガキ
第49回 おせっかいで団結!
第48回 木星と土星が接近すると
第47回 青空に白く光る
第46回 ガスレンジ新式?!
第45回 薬局の娘が……
第44回 転々流転の姓ながら
第43回 よろしうおたのもうします
第42回 奇っ怪!アメリカ式選挙
第41回 老いてなおハツラツ?
第40回 どうしてる?労働者諸君!
第39回 ひさびさの博士
第38回 タレント事務所に電話してみた
第37回 コロナと3大統領
第36回 不安なゴマカシ日本語
第35回 このごろの自殺
第34回 元子役の意見
第33回 今こそラジオ体操!
第32回 爺さんは婆さんだった
第31回 LGBTQ+
第30回 学歴詐称
第29回 嬉し恐ろし初体験
第28回 趣味はカネ儲け?
第27回 『雨』を歌えば
第26回 ツッパルことが男の……
第25回 連日の雨に
第24回 ひしひしと不確実性の時代
第23回 野球オンチなので
第22回 トランプ的思い上がり?
第21回 ウグイスはなんと鳴く?
第20回 昔「広告屋」今アドマン
第19回 ステキなステッキ
第18回 みいんなマスク
第17回 ただいま!雑記復活!
第16回 みなさんご無事で!!!
第15回 DT方式?!
第14回 ウイルスと風俗
第13回 私の問題・社会の問題
第12回 ワラビとカンゾウ
第11回 ウイルスまくひとカネまくひと
第10回 新型コロナウイルスお目見え!
第9回 新型コロナウイルスで流行る自粛
第8回 カードの脅迫
第7回 「仮釈放」の友
第6回 子抱き地蔵
第5回 マスクが消えた?!
第4回 確率論的津波評価、なぜ?
第3回 「次世代」なるもの
第2回 道玄坂の日の丸 
第1回 新年につきごあいさつをば

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