伊豆新聞に掲載された過去の記事からピックアップしたものです。
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その10 音楽著作権のこと
(2009年4月15日 伊豆新聞に掲載)

話を進めるのに、音楽著作権の基本を少々話そう。みなさんには遠い話かもしれない。しかし昔と違って、近年、カラオケやiPodの類が盛んになってからは、みんな、知らないうちに深く関係しているのだ。知ってソンはない。
さて、著作権と聞いて、あなたはなにを連想なさるだろうか。今なら、小室哲哉さんの事件かな。または、我がJASRAC(日本音楽著作権協会)が公取委の注意を受けたことだろうか。いずれにせよ、この世で目につく著作権は、売ったり買ったり預けたりと、まるで商品のようだ。いかにも、この著作権、商品著作権とでも呼ぶべき著作権の概念は、芸術の分野ではなく、音楽産業の分野で生まれた。発祥地は、権利意識と商魂を兼ね備えたUSAに決まっている。音楽は商品である、という発見が、商品著作権の概念を育てた、と言っていい。

音楽が商品なら、曲の作者はさしずめ生産者。カラオケ歌ったりモバイルで音楽聞いたりケータイに着メロをダウンロードしたりコンサート聞きにいったりするのは、末端消費。ほかの場合同様、その間ではあまたの者が音楽を使って商売している。CDなどを製作出版する業者。音楽を使って番組を作り売るテレビやラジオ局。ケータイやiPodの利用者に音楽を売る業者。カラオケ屋やカラオケのあるバー。音楽を聞かせる喫茶店。演奏して入場料を取るコンサート。もう、書き並べるだけで目がまわる。
こうした中間業者の儲けに、生産者が与れないのは不当である、ちゃんと儲けの上前をはねよう。それにはだれがどの音楽でどう商売しているか監視して、徴収しなければ。個人では無理。そうだ、監視、徴収、そして作者への配布を専門とする団体を作ろう。とまあおおむねそのような世界の潮流のなか、日本で初めてできた団体が、文科省認可の日本音楽著作権協会だった。

正直言って、この商品著作権の考えは、私、きらいだ。実は、著作権にはもっと大切な意味がある。著作権とは人権に通じるものなのだ。作者あっての著作物である。だから、その作品についてのあらゆる権利は、終生作者にある。この著作権は、当人にも売り買いできない。人権を売り買いできないのと同じだ。この意味こそが著作権の本体だと私は思っている。
とはいえ、自分の作品で業者ばかりが稼ぐのを漫然と見ているのもナンなので、一応は会員になっていたが、作品を登録して、協会が集めた使用料を受け取るだけで、協会には近づかなかった。それが突然、永六輔さんから評議員への立候補を頼まれて・・・続きは次回のお楽しみっ。


人気のチンパンジー勉強会(伊豆シャボテン公園で)

その9 幼馴染みのトクラくん
その8 「歌声喫茶」で
その7 ♪あなたの心に

その6 プレシルクラブ

その5 仲間はいいな
その4 決行!伊豆急全線ウォーク
その3 カワヅザクラのこと
その2 こうして伊豆半島人になった

その1 ただいま雑記を始めます

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