伊豆新聞に掲載された過去の記事からピックアップしたものです。
ここでしか読めない過去の最新アップもお楽しみに!!

 
 
 

その5 仲間はいいな
(2009年2月11日 伊豆新聞に掲載)

東伊豆をホームグラウンドにするダイバーにとって、「伊豆急全線ウォーク」のコースは馴染み深いものだ。ダイビングのメッカ、伊豆海洋公園(通称IOP)を中心に、伊東港、川奈、富戸、八幡野、赤沢、北川などのダイブスポットに、私たちはよく潜る。スポットというのは、空気タンクを貸し出す設備があって、「へぇおまえっち、ここでなら潜っていいら〜」と漁業組合が許してくれている場所だ。下田の神子元にもよく行く。だから電車で来る者は、それらのスポットに近い駅をよく利用するし、車で来る者のなかには、このコースを裏道まで熟知する者もある。

「しかし、歩いてみると、違うもんだねえ」というのが、全線ウォークに参加したダイバー全員の感慨だった。視線の高さが違う。電車や車からよりも低い。スピードが違う。風景はゆっくり移り変わり、なんといっても、好きなところで止まったり引き返したりして、じっくり見られるのがいい。そして、もちろん、車や電車では通れない細道や段々道も味わえる。
仲間たち全員が伊豆の風光に惚れなおし、私は、なんていいところに住んでいるのだろう、と改めて感謝した。誰に、というわけではないが、とにかく有り難い気持ちになった。

鳥好きのトシちゃんは、大きな望遠鏡をかついで歩きながら、尋ねると、鳴き声の主を教えてくれる。お返しに私は植物の解説をする。ほら、あれ見て、これ見て、としょっちゅう誰かしらが騒ぐ。そうやって歩くことそのものが楽しいばかりではない。温泉、これがまた楽しみ。その日の終着駅ふきんの温泉を、ガイドブックや立て札で探索する、これも楽しい。先週の水曜日には、稲取の山中を尋ね尋ねて、まだ開設間もない町営の「伊豆見高入谷高原温泉」に入った。豪華大浴場型温泉もいいけれど、こういうこじんまりした温泉もいい。我々は温泉評論家になりつつある。それから、同じようにして見つけた店で、食べて呑む。これがまた楽しい。
「でもさ、これ、みんなといっしょだからよけい楽しいんだよ。第一、ひとりじゃやってないよ、全線ウォークなんて」と、伴走「救護車」係のあっちゃんが言うと、みんな口々に、賛同の弁を述べた。

まったくだ。仲間はいいもんだ。それで私たち、そもそもどういう仲間なのかというと・・・それは次回のお楽しみっ。


板海苔の干してある道を行く

その4 決行!伊豆急全線ウォーク
その3 カワヅザクラのこと
その2 こうして伊豆半島人になった

その1 ただいま雑記を始めます

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