心なごみませ  第46回

「抱き合うこと」

山元加津子(在日石川人)

 子供たちの実習の付き添いのために、二日間学校を留守にしました。留守の後初めて学校に行ったときのことです。教室に入ると、りっちゃんが、急に私に抱きついて、ぽろりと涙をこぼしました。二日間、みんなの前では、学校に来れないことをお話ししたけれど、りっちゃんに「明日と明後日はこれないけれど、その次には来るからね」とお話ししなかったなあと申し訳なく思いました。

 私たちはよく抱き合います。りっちゃんとも、ちかちゃんともゆいかちゃんとも、何かの折に、みんなは私の腕の中にすっぽりと入ってきてくれます。
 朝のおはようのとき、給食の順番をついているとき…高校2年生にもなって、甘えん坊だなあなんていう見方もあるかもしれません。でも、私は、いつもお互いに大切に思い合っていると感じられる中で毎日をすごしていたいのです。朝のあいさつもそうです。私は、今日も会えてうれしいよとお互いに気持ちを伝えられるのがうれしいと思うから、向こうから、「かっこちゃーん」と手を振ってそばにきて、抱きついてきてくれる子供建ちといることがとてもうれしいです。
 
 けれども、きちんと気をつけをして、30度に「おはようございます」とあいさつをしあうことが大切と思っておられる方もいるでしょう。私は子供たちがいろんな人のいろいろな考えの中で大きくなっていけることがとても幸せでうれしいなあと思います。
 社会に出ても、いろいろな人の中で子供たちは育っていきます。(みんなが同じ考えでないと子供たちはとまどってしまう)という考えもあるかもしれません。でも、私はそうは思いません。子供たちはちゃんと、この人とはどんなふうにいたらいいか、こんなときはどうしたらいいかをちゃんと知っていると思います。たくさんの人の中で、いろいろなことを学びながら、子供たちはいっそう、偏ることなく、自分というものを見つけていけるような気がするのです。それが大切なんだと思います。