心なごみませ  第44回

「お互い様で生きていく」

山元加津子(在日石川人)

 学校で一緒に仕事をしている山田さんは、進路課という進路を担当する課に所属しています。ときどき、学校の子どもたちの卒業先の社長さんからお話をうかがって、記事にして、進路ジャーナルというのを書いています。そして、その話をときどきしてくれます。
「昨日の社長さんも本当に素敵な方だったの。同じ空の下、同じ時代を生きているもの同士。たとえば痛みを持つ人がいれば、それは分け合っていかなくちゃならない。助け合って生きて行かなくちゃ。みんなお互い様で生きていくのだからって言われたのがすごく心に残ったよ」
  どちらかが一方的というのじゃなくて、みんながお互い様で生きていくということを思いながらみんなが生きて生けたらどんなにいいでしょう。そしてそんなふうに言ってくださる社長さんを心から尊敬します。そして、子どもたちがそこで働けることをとてもとてもうれしくありがたく思いました。
 山田さんが書いた進路ジャーナルには社長さんのこんな言葉が載っています。「企業として適正な利潤を確保すること、これは当然のことなのだけれど、それ以上に、企業として大切なことは“仕事を通じて人が育ち、価値ある人生を感ずる”という数字で表せない部分だと思うんですよ。そして、その子にあった仕事をみつけることが大切。障害があっても(そうじゃなくても)認められることは本当に人を大きく成長させると思うんだよね」
 私は、学校でも仕事でも、毎日毎日楽しく通えることって大切なこと だと思うのです。それは仕事がらくだとかきついというようなことでは決してなく、自分が周りから認められていると感じられるとき、きっと人は輝けるのじゃないかなと思うのです。そして明日もまた頑張ろうと思えるのじゃないかと思うのです。