あんなこんなそんなおんな・・・・・昔昔のその昔 第71

■古文書とインターネット■

中山千夏(在日伊豆半島人)

自分、四つ欲しい状況に突入してま〜す。
一、ご飯食べたり眠ったりトイレいったりする自分。
二、遊び専門の自分。
三、講演したり交際したり連載書いたりする自分。
そして四、ずうっと書きたいものを書いている自分。
でも自分はひとり。この四が始まっちゃったので、一〜三がしんどい今日この頃です。

スクーバ・ダイビングについての本を注文された。で、大師匠である故・益田一と、大好きな小笠原について書くことにした。このふたつに、実は思わぬ関係があることを、密かに「発見」していたのでね、それを書く。
そのためには歴史を書かなきゃならない。

益田一については、結局、彼の個人史とスクーバ・ダイビング発展史。小笠原はもろ歴史。
ま、軽くやるつもりだったのよ、基本は「ダイビングの本」なんだから。だけど、ちょっと調べ始めたら、やたら資料が集まる。益田さんについてはその弟子たち、小笠原については村の教育課の有能な司書さん、そういうひとたちが、「ちょっと聞きたいんですが」と声かけたら、どば〜っと話やら文書やら出してきてくれた。
で、とりかかったら、おもしろくておもしろくて。どうにもとまりません。
最初は他人が書いた孫引きで満足していたのだけれど、小さな「発見」に導かれて、どんどん関連資料、原資料に手が伸びる、という例の状況にはいっちゃいました。

おかげで知らないこといろいろ知りました。サコちゃんと違って、歴史の基礎的な知識に欠けてるからね、知らないこと多い。林子平の『三国通覧図説』、中学で文字面だけお目にかかったことがあったけど、ああいう書物だったとはね!
それでね、書いているうちに、現物をどうしても調べたくなった。図書館いくのは大変だしな〜、第一、もうそんなことしてらんないよ、締め切り迫ってるし〜、ううむ、ここのところだけでも、ネットになにか情報ないかな・・・・・・わああああ!
あったのですよ、探したら。ある大学が図像で全ページを公開してた。感動しましたね。こんなに簡単に幕末の刊本を、私ごときが見られるなんて。しかもいながらにして。
ネットに罪は多いでしょうが、知識の独占を緩和した功は大きい、と思いました。
現物を調べた結果は大きかった。孫引きから出ていたのと違う解釈になったのでね。

まあ、全部とはいかないでしょうが、図書館や学校が、できるだけたくさん、古文書をデジタル化して、簡単に見られる方法で公開してくれるといいなあ。