あんなこんなそんなおんな・・・・・昔昔のその昔 第60

■花の髪飾りをするオトコ達■

佐古和枝(在日山陰人)

うっ・・・地図が読めない方向音痴っていう点では、サコは立派にオンナなのですが、草花の名前を知らない点ではオトコっぽいのかな (^_^;)でも、うちの歩く会の会員さんは男女ほぼ同数で、先生の代理が務まるほど詳しいのは男性会員さん達です。サコの観察によると、男性会員さん達は植物として観察・記憶しており、女性の詳しい人達は、生け花で使うとか食べられるとか年中行事に使うとか、自分の体験のなかでの感覚的な知識のような気がします。
古代の日本でも 『万葉集』に「桜児」という美しい娘の悲話があったり、記紀神話に木花咲耶姫という女神がいたりなど、花=女性というイメージはあったようですが、それだけではない。
『万葉集』には、男性も頭飾りとして花を飾ったことがわかる歌がいくつかあります。それは蔓草を冠のように頭に巻いたものもあったようですが、女性が恋人を想いながら「ナデシコよ、彼の頭飾りとして、千年変わらず咲いててほしい」なんて歌があったりします。どうやら、花の生命力がその人に乗り移ると考えられていたようで、彼女は恋人に長生きしてねと願ったってわけ。それにしても、頭にナデシコの花を飾ったオトコなんて、いまなら、気持悪い!と蹴飛ばされる(^_^;)
でも、平安時代の『西宮記』という書物には、大嘗祭などの各種の祭礼や列見、官吏の任命や昇進に関する行儀の時に、貴族達が天皇から身分に応じて、藤花、桜、山吹、菊などの生花を冠に刺してもらうことになっていたとあり、これを挿頭花(かざしばな)といったそうです(武田佐知子「花をまとう、花を贈る」週刊朝日百科植物の世界『花の発見』)。今でいうエリートのオトコ達が頭に花を飾って喜んでいるのですよ、古代日本では。
日本の生け花は、仏教行事やお茶事のなかから発生した。ってことは、どちらも男性世界のものだった。いまでこそ、茶道や華道は圧倒的に女性の世界になっていますが、女性が茶道をやり始めるのは、明治時代の女子教育に茶道が採用されてからのこと。だから、お花=優しい=オンナという方程式も含め、明治時代に作られたイメージが、まるで古代からそうであったように私達にすりこまれていることって、案外多いような気がします。