あんなこんなそんなおんな・・・・・昔昔のその昔 第1回

■始めのごあいさつ■

中山千夏(在日伊豆半島人)

女が女にこだわるのは、自分自身にこだわることです。自分自身にこだわるところからしか、腰の坐った人権感覚は生まれない、と信じているので、誰がなんと言おうが、わたしゃ女にこだわります。

というわけで、ここでも自分を知るために、おんなの歴史を見つめるコラムを始めることにしました。「おんな組いのち」というネーミングだけでもうんざりだというかたがたにはまことにご迷惑ですが、そのなかにまた「おんな」のついたコラムであります。
ただし組名と同じく、女ではなく「おんな」。女性そのものだけではなく、女性的価値のある歴史の話題を供していきたい。

私にとって歴史が意味を持ち始めたのは、明治大正期の女たちの女権運動を知った時です。それまで歴史なんてものは、ただ試験のために勉強する対象でしかなかった。そこに同性の存在を見た時、初めて歴史が自分のものに感じられたわけです。
もっとも、ただ同性というだけでは、そういうこともなかったでしょう。私自身、この社会での女性差別を薄々ながら感知して、生きるうえで大きな問題だ、とどこかで考えていたから、昔の、しかも差別を乗りこえようとした女たちに共感を覚えたわけでしょう。
このコラムでも、「おんな」であるみなさんが、かつての私のような歴史との出会いを経験してくださったら、嬉しいな。

主たる筆者は在日山陰人・佐古和枝さん。なんと彼女は去年、本邦初の女性の日本考古学会理事になられたのですぞ!! すごい!! それまで女のエライさんはいなかったという学界がすごい!!
でもそれよりも、鳥取県・妻木晩田(むきばんだ)遺跡の保存運動を成功に導き、市民のための考古学をいろいろ展開しているネーチャンとして、人々に親しまれています。一人で語るのも淋しい、というので、私めが、時々ちゃちゃを入れさせてもらうことにしました。実は私、日本最古の歴史書である『古事記』オタクなのです。現代語訳を出したのがきっかけで考古学や歴史の先生たちと親しくなり、佐古さんとも知り合いました。まだ彼女は助教授だったか、とにかく1990年代のことですね、確か。以後、彼女は私が古代を思う時の知恵袋です。サコちゃんと呼んでます。
それではサコちゃん、始めましょうか!