心なごみませ  第9回

「今日という日」

山元加津子(在日石川人)

 私は養護学校の教員をしています。子どもたちといると、毎日楽しいことでいっぱい。
 日記を読み返すと、子どもたちと一緒にいることで、なんてたくさんの元気をもらっていることだろうと思うのです。最近の日記を少し紹介させてください。

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2月2日 まさるちゃんとおしゃべりをしていると本当に楽しいです。「明日は節分だね。豆まき」まさるちゃんはそれを聞いて「はみがき?」と言いました。語感が似ているからかな?そうじゃなくて明日は豆まき・・
「風邪が流行ってるね。予防にはマスクだね」「マスク・・」・・「エプロンやねえ」・・ちょっと違う・・。まさるちゃんわかってないなあ・・風邪だよ風邪・・エプロンはお料理のとき・・
 いいえ、まさるちゃんはわかってないのじゃないのです。ただ、一緒に言葉で遊んでくれているのです。それが証拠に、まさるちゃんがマスクをしていたとき、「まさるちゃんマスクしてるね」と私が聞くと、まさるちゃんが「まさる風邪ひいたね」といいました。

2月9日 作業で一緒のりゅうちゃんはしょっちゅう「おめでとう」って言います。お誕生日だとか、そういう特別な日じゃなくても、たとえば顔を見ると「かつこせんせいおめでとー」って、少し作業をして、それからまた顔をあげて「おめでとー」って言います。
 最初は「りゅうちゃん、お誕生日じゃないよ」とか「何のおめでとー?」なんて聞いていて、そうすると、りゅうちゃんは、首をちょっとかしげて、だまっていました。そして、しばらくして、また「おめでとー」と言います。気がつくと、りゅうちゃんに「おめでとー」って言ってもらうとすごくうれしい気持ちになっていることに気がつくのです。
 そうだ、くまのプーさんの本の中にも、「お誕生日おめでとう」「お散歩に行って楽しい日おめでとう」とか「何でもない日、おめでとう」っていうふうに、毎日の中に、うれしいことを見つけて、相手の幸せをお祝いして「おめでとう」というおはなしが出てきます。
 りゅうちゃんはきっと、いろんなことに感謝していて、そして、毎日はつらいことだってあるけれど、でも、たくさんのうれしいことで彩られていることを知っていて、そして相手の幸せも「ああ、本当によかったね」って思って、「おめでとう」って言ってくれてるのかもしれないって思いました。
 りゅうちゃんは素敵。素敵なりゅうちゃん、おめでとう・・。今日もみなさんおめでとう。 

 そう言えば、今日はバレンタイン。
 もう何年も前、大ちゃんという男の子と毎日学校で一緒にいたとき、大ちゃんが、「山もっちゃん、仲良くしようや」って言うのです。「私たち仲良しじゃない」って言っても、「な、な、仲良くしようや。山もっちゃん」って。
 気がつくとバレンタインが近くて、「チョコレート、バレンタインにはちょうだいね」って言うことだったり、ある日は給食のステーキがおいしいから、そして大好きだから、ちょっと分けてねって言うことだったり・・。そんな大ちゃんが本当に大好きでいとおしかったです。
 みなさんはどんなバレンタインをすごされたのでしょう。
 今日も素敵な一日でありますように・・