第85回 Are you hungry?
5歳になったうちのワンコは、きちんとご飯を与えているのに、常にお腹を空かせているように見える。食いしん坊なのだ。
2か月半の飼いはじめの頃は、ミルクとふやかしたドッグフード。子育てもとっくにおわった私にとっては、懐かしくもあり、少々面倒なことだった。今は考えられないことだけど食べない時期もあり、フード難民にもなりかけた。
こやつらは利口だ。食べなければ、次の美味しい何かが出てくることも早々に学んでしまう。手作り食にもチャレンジしたが。これは腹を下した。( ´∀` )
こんな様子を見るに見かねた近くに住む友人は、ワンコを諭す。
「貴女も災難だったわね。この人が作る怪しいご飯よりは、どんなものでもドッグフードの方が絶対安全なのに、食べないから。ねえ貴女、私のとこで一泊しなさい」と、加えて提案。
2匹の犬と暮らした経験がある彼女の目には、ワンコに操られている私(飼い主)のことも、フード難民を続けるかもしれないワンコのいくすえもきっと不憫に映ったに違いない。
「ちいちゃんはね。がんばり屋さんなんだけど、それがこうじて時々おかしなことになる。さあ、いらっしゃい。カム!」彼女の覇気ある声で腕に収まるワンコはいつも安心した表情をする。「お任せあれ」軽くウィンクする彼女に託し…。
翌日の夕方、「ちぃちゃん ただいま。散歩しながら帰ってきたよ。夜もしっかり寝て、いい子にしてたよ。今日からご飯も…きっと食べるはず。See you」友人は笑顔を残し足早に去る。頼もしい背中に私は「ありがとう」
もしも、彼女に出会っていなかったら、ワンコとの暮らしを手に入れる事も、ワンコがいることが当たり前にもならなかった。だから、玄関に迎える事がなくなった今も、彼女には有難うだ。彼女には多くを学んだ。
で、この時ワンコはご飯を食べたのか?
はい! いつもは鼻にもかけないドッグフードをパクパクカリカリ。お皿までぴっかぴっかになめました。
後日、「どんな魔法をかけたの?」と問う私に
「えっ、貴女、あれから、順調に食べているのね。グッドガール」とワンコを撫ぜる。
「私は、なんにもしてない。ただ、お腹を空かせるのを待っただけ。あっ夫とはたくさん遊んでたわ。犬ってね飢餓感があると食べるの。お腹が空くと黄色い胃液を出すこともあるけれど、元気なら大丈夫。ちぃちゃんは、初めての可愛いワンコを干乾しになんてできないでしょ。でも、ワンコもしつけのタイミングとコツがあるのよ。あー、私も勇気を出して預かった甲斐があったわ」
私って‥きっと何かを育てる事が苦手なのかも知れない。人もワンコも生きていくに必要なのは与える事ではない。空腹を体験させること・ハングリー精神を培う事なのだ。
自身のハングリー精神も年々減り、なくなりつつある今になって、「息子にも与えすぎたかも・・・」なんて思ってみても仕方はない。
が、与えることより、与えないことの方が大切というのは、犬と暮らしてみて日々実感する。