「彼ら(武装グループ)は、なぜ日本政府が法を破ってイラクに自衛隊を派遣したのかと尋ねています。小泉(純一郎首相)さん、彼らは日本政府に自衛隊の(イラクからの)撤退を求めています。さもなくば、僕の首をはねると言っています。すみませんでした。また日本に戻りたいです」
テレビを見ながら、胸がかきむしられるとはこういうことなのかと思う。
目の前に、殺されようとしている人がいる。
短パンがどうだとか、現金をわずかしか所持していなかったとか、そんな報道がどれほど必要なのか。
その報道内容は、プー太郎が面倒なことを起こしてくれて迷惑だ、というようにしか私の耳には聞こえない。
家族に対する嫌がらせも増大している。
殺される恐怖の中にいる一人の青年の命に、なぜ、思いを致せないのか。
生きて帰ってくることを拒むかのようなこの空気こそが、かつての集団自決の素地ではなかったのか。
すぐさま自衛隊の撤退を拒否した政府の姿勢は、この国は、何か失敗したら決して守ってはくれないという、絶望にも近い思いを人々の心に宿した。その罪は計り知れないほど大きい。
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