税金は弱者の為に使われるべきです。
DV被害者支援一般財源化に反対します。

 
おんな組世話人 辛淑玉
 

8月26日、地方6団体から『国庫補助負担金に関する改革案』が提出されました。中味を読んで唖然としました。「特定財源」であったDV被害者支援施策の「一般財源化」が提案されています。
私は、これに強く抗議をいたします。

これは、小泉内閣が、「補助金削減三兆地方はどれにしたいか選べ」といったことに地方が対応して各地方自治体が削減しやすい項目を選びました。
つまり、女性や子どもの補助金が削減されるのです。いまでさえ生き地獄の中をさまよっている
女や子どもは数え切れない。見殺しにすることになりなねないのです。

税金は、弱者のために使われるべきものです。
14日木曜日に、国会で院内集会を開きます。来てください。
(2004年10月7日) 



(以下、関係団体の声明文)
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全国知事会長殿
全国都道府県議会議長会長殿
全国市長会長殿
全国市議会議長会長殿
全国町村会長殿
全国町村議会議長会長殿

地方六団体による「国庫補助負担金等に関する改革案」に対する
声明及び要望書


 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
 地方六団体におかれましては,児童福祉の充実のためにご尽力されていることに敬意を表します。

 私たちは、日頃、それぞれの立場で、児童虐待の防止に取り組んでいる者たちですが、8月24日付の貴団体の改革案を拝見いたしましたところ、そのご提案の中で、廃止して税源移譲の対象とすべき国庫補助負担金の中に、児童虐待・DV対策関連費(児童保護費等負担金、児童福祉事業対策費等補助金、婦人保護事業費補助金など)が含まれていることに、以下に列記する理由から、強い危機感を抱いています。

1.児童養護施設等に措置され、生活を送っている子どもたちの大半は、保護者からの虐待を経
 験しています。これらの子どもたちの最低限の生活の保障は、国・社会全体が担うべき責務で
 あり、地方による格差なく国による統一的な措置が確保されることが望まれるべきものと考え
 ます。
  貴団体のご提案においても、生活保護は地方による「格差なく国による統一的な措置が望ま
 れるもの」として、今回の移譲対象からは除外されているにもかかわらず、子どもたちの生活
 を保障する性格を持つ児童養護施設等への措置費が移譲対象とされているのは理解に苦しみま
 す。

2.例えば、児童相談所の児童福祉司の配置状況を見ると、各自治体間で著しい格差が現に存在
 します。
  厚生労働省の調べでは、本年5月1日現在で47都道府県・13指定都市のうち、全体の61%に
 あたる37自治体が児童福祉司の配置について地方交付税基準すら満たしておりません。
  また、児童福祉司一人が担当する人口数には,最高水準(児童福祉司1人当たりの管轄人口
 が最も少ない)の青森県と最低水準の千葉市や岐阜県の間には約4倍の格差が存在します。
  このような現状の中で、仮に児童虐待・DV対策関連の補助金が地方に移譲された場合、こ
 れらの取組について、地域間格差の拡大にさらなる拍車がかかることを強く危惧します。そし
 て、その結果、子どもの生命が危機に瀕する重大な恐れを禁じえません。

3.さらに、保護者からの虐待を受けている子どもには、自ら訴える手段を持たないことはもと
 より、保護者による利益代弁が期待できません。
  仮に、こうした子どもたちに対する十分な援助が提供されなかったとしても、利益代弁者が
 不在という状況で、適切な住民監視が機能しないのではないかと大いに懸念いたします。

 虐待の相談件数は年々増加の一途をたどる一方で、虐待の対策はいまだ緒 についたばかりです。
 本年10月1日から施行される改正児童虐待防止法では、地方自治体の責務が大幅に拡大されることとなっており、たとえば子どもや親の治療・ケアに関する新たな施策の実施などより一層の取組が必要となります。
 かけがえのない子どもたちの命の安全、心身の健全な発達がかかっています。決して停滞の許されない、地域間格差のあってはならない分野です。


 以上の理由から、私たちは、児童虐待・DV関連の補助金を、現時点において地方公共団体へ移譲することに関しては、再考いただくよう要望する次第です。
 なお、追って、私たちとしては、都道府県・政令指定都市の首長に対して本件に関する公開質問状を提出することとしていますので、申し添えます。

                           日本子どもの虐待防止研究会
 
                  児童虐待防止法の改正を求める全国ネットワーク
                          子どもの虐待防止民間ネットワーク

                  特定非営利活動法人 児童虐待防止協会
                  社会福祉法人    子どもの虐待防止センター
       
                  特定非営利活動法人 
                      子どもの虐待防止ネットワーク・あいち
                  エンパワメント・センター


 
全国シェルターシンポジウム 鳥取2004 in よなご

大会アピール(案)

改正施行される「配偶者からの暴力の防止および被害者の保護に関する法律」
の実効性ある運用と、財源確保を求める要望書

「配偶者からの暴力の防止および被害者の保護に関する法律」(DV防止法)が制定3年目を迎え、見直し規定に基づいて改正施行の運びとなりました。
 日本の社会がDV防止法を成立させ、DV犯罪の根絶に向かう取り組みを開始したことは画期的なことでしたが、この法律は制定当初から「保護法」としての限界が指摘されていました。
 DV防止法を根拠にしつつ、被害当事者の回復と自立を支援してきた「全国女性シェルターネット」は、法の改正にあたり、サポート現場に蓄積された課題を集積し、当事者の訴えを組織して、実効性ある法律の改正内容を提言し、法改正に多大な貢献を果たしました。今回の改正過程が当事者立法と評価されるゆえんがここにあります。
 「改正DV防止法」には、
1.「配偶者からの暴力の定義」の拡大
2.保護命令制度の拡充
3.市町村におけるDV支援センター業務の実施
4.国および地方公共団体の自立支援についての責務を明確化
5.外国籍女性、障害女性等への配慮
6.警察による援助
7.苦情の適切かつ迅速な処理
8.3年後の見直し
が盛り込まれました。
 特に、当事者が「いつでも」「だれでも」「どこからでも」安全なサポートを受けられるために、国がDV支援策の「基本方針」を作り、地方自治体が「基本計画」を作るよう義務付けられたことは、大きな成果ということができます。DV施策の自治体間格差をなくし、自立支援のナショナルミニマムを実現することができるからです。
 しかし、改正DV防止法の施行により、被害を受ける女性や子どもたちの回復と再出発を支える施策が前進する期待を持ったのもつかのま、地方六団体による「国庫補助負担金等に関する改革案」が提案され、DV施策に関わる事業費のほとんどが国家補助金から削減されかねない事態となりました。
 財源の確保がなければ、施策の実現をのぞむことはできません。
 DV施策の最低基準が全国自治体にゆきわたるまでの間、適正かつ充分な国庫予算の投入を約束することは、法律を改正した国が、真っ先に果たすべき責務といえるでしょう。
 私たちは、改正DV防止法の実効性ある運用を求めます。
 私たちは、改正DV防止法に基づいた施策の実施のために、地方六団体による「国庫補助負担金等に関する改革案」の見直しを求めます。
 私たちは、未定着であるDV根絶施策の実現に向けて国が責任を果たすことを求めます。

2004年10月3日 

全国シェルターシンポジウム 
鳥取2004 in よなご 
参加者一同