第336回 花と少数民族と

中山千夏(在日伊豆半島人)

みてみて! うちのまわり、桜が満開!

この桜、有名なソメイヨシノよりうんと早く咲く。
ちょうど私が伊豆に居を構えたころ、だから、1974年ごろに伊豆半島の河津で「発見」された。ふつうより濃いピンクのこの桜を採取して庭に植えていたひとがいた。今、その庭の原木は、ちゃんと河津の観光コースに入ってます。
これを増やして世に広めた勝俣さんという伊豆の植木屋さんがいた。彼がたまたま、ウチが購入した分譲地の環境作りにたずさわっていたのね。で、みんなでサクラを植えたいな、となった時、彼が強力に「新種のサクラ」を推薦して、苗木をたくさん植えた。
おかげで今、うちのまわりには、本場にも負けないくらいカワズザクラが誇っています。
春ですねえ。

もうひとつ、私の自慢は、庭に「放し飼い」のフクジュソウ。何十年か前、お正月の飾りに小さな盆栽を駅前で買いました。よくあるやつ。フクジュソウ一株と赤い実のヤブコウジなんかを寄せ植えにしてあるやつ。捨てるつもりで庭の片隅に埋めたのが、何年かたったら、わっ、咲いてる!

年々ふえて今年もこんなふうに。夏以降、地上からすっかり姿を消すだけに、毎年、このこたちがひょっこり顔を見せてくれると、なんとも言いようのない感動です。

実はこの写真、久々に外へ出て撮りました。昨日です。もうサコちゃんには報告したけど、オニのカクランならぬオニのインフルやりまして。暮からの風邪が治りかけていたところへ、ん? こりゃふつうと違う!というので医者へ。見事インフルエンザA型のお墨付きをいただきました。初体験です。
たいして熱も咳も出ず、症状は軽いほうだったと思うのですが、なにしろ体調が悪い。3日間は完全にぐったり。絶食して寝てました。その後も、シゴトもアソビも2、3件、飛ばして。おととい17日の佐野市人権講演会には、かろうじて出られました。ほっ。
今もまだ、スキあらば逆襲!のインフルの気配があります。やれやれ。
昔はこんな風邪、なかったよね? 花粉症とかもなかったね? アレルギー系は、なあんか人間が作り出した気がして仕方ない。

さて、もうひとつは重要な写真。

『大学による盗骨 研究利用され続ける琉球人・アイヌ人』
2月1日に出たばかりの本です。耕文社から、1800円+税。
ぜひ読んでください。長い長い地道な両民族の活動が、ようやく現代にはっきりと姿を見せた。そんな観がある。特に日本の知識人……ということは、学者のみならず、大多数大学出のみなさんは、ぜひ読んで知るべきだ。
知りたいと思いながらも、その機会を逸していたひとも数多いだろう。
アイヌはもちろんのこと、民族としての沖縄人…琉球人を、現代の存在として考える資料は、なかなか無いからだ。そんなひとにとっては、待ちかねた書物ということになるだろう。
本書は、国立大学による琉球人・アイヌ人の遺骨の「研究利用」の実態(現代の話だ)を切り口に、少数民族自身の声を響かせている。
私見では、これは決して「過激」な民族運動の産物ではなく、アイヌ・琉球両民族とそれを支援するひとびととの、ごく穏健な発言だ。編者は、松島泰勝(龍谷大学教授、琉球民族遺骨返還研究会代表)と木村朗(鹿児島大学教員、東アジア共同体・沖縄研究会共同代表)。執筆者は、鳩山由紀夫(第93代内閣総理大臣)の序文を皮切りに、総勢24人。
もしこれを読んで、なにか偏りがあるように感じるとしたら、それは読者自身がどこか傾いているからに違いない。
ぜひぜひご一読を!