第328回 いただきましたぁ〜、サントリー地域文化賞!!

佐古和枝(在日山陰人)

8月24日、われら「むきばんだ応援団」は、サントリー地域文化賞をいただきました。「むきばんだ応援団」は、1999年2月に妻木晩田遺跡の保存運動のために結成し、同年4月に全面保存が決定した後は、妻木晩田遺跡の普及・活用に取り組んできました。

妻木晩田遺跡は、全面保存が決まった後、鳥取県が管理・運営することになりました(むきばんだ史跡公園)。その年の12月には、国史跡に指定されました。遺跡のことは、もう県に任せておけばいいじゃないか、と思う方もおられるかもしれませんね。遺跡を壊すか残すかを決めたのも、私達ではなく鳥取県です。それでも、私達には「遺跡を残して!」と訴えた責任がある、と勝手に思っているのです。ゴルフ場建設に期待を寄せていた人達も含めて、「やっぱり遺跡を残してよかったね」と言ってもらえるようになるまでは、手をひくわけにはいかない。妻木晩田ファンを増やそうと、毎月1度の市民講座「むきばんだやよい塾」や植物観察「むきばんだを歩く会」の他、遺跡でコンサート、子どもの体験学習講座「むきばんだこども塾」など、思いつくことは何でもやった。考古学にあまり関心のない人達もひきこみたくて、千夏さんや小室等さん、永六輔さん、李政美さんにも、よく妻木晩田に来ていただいて、講演会やトーク&コンサートをやらせていただきました。おかげさまで、楽しい思い出がいっぱいできました。

そして来年は20周年を迎えます。長い間よく続けてきたということも、受賞理由の1つだったそうです。これは、ありがたい評価でした。正直、20年近く続くと、マンネリ化や気の緩みがでかねないところです。また、メンバーの高齢化も進んできて、昔ほどのパワーはなくなっていました。それが今回の受賞で、ピリっと気持が引き締まり、「まだまだ頑張らなきゃ!」と古株メンバーも大喜びで元気復活!もうひとつ、ありがたかったのは、サントリー文化財団さんが地元で記者発表をしてくれたことでした。だから、地元マスコミ各社が大きく取り上げてくれて、話題になりました。いろんな人から「おめでとう」と声をかけてもらい、講座の会員も増えました。ありがたや、ありがたや。

むきばんだやよい塾の有志が立ち上げた「妻木晩田遺跡ボランティアガイドの会」は、毎日遺跡でガイド活動をしています。先日、70代のガイドの方から、受賞のお祝いの言葉とともに、こんな一言をいただきました。「ほんに、妻木晩田遺跡があってよかったです。もしこの遺跡がなければ、ワシは毎日、何をしてただろうかと思います。毎日、酒飲むしかなくて、粗大ゴミ扱いされ、居場所がなかったと思います。いまガイド活動が生き甲斐です。妻木晩田遺跡に感謝しています」と。ああ、ゴルフ場より遺跡を残して良かったんだと、おなかの底から嬉しかったです。

さあて、これからまたネジまいて、むきばんだ三昧!「還暦なんて、まだまだ鼻タレ」と笑う、妻木晩田の頼もしいおにいさま&おねえさま達と共に、次の20年をめざして、若い世代をとりこむ仕掛けをたくらんでいるところです。どうぞ、今後とも、妻木晩田遺跡とむきばんだ応援団を、よろしくお願いいたします。


9月28日、東京のホテルで授賞式 千夏さんの姿も