第261回 さあベンキョーだ!

中山千夏(在日伊豆半島人)

ほいほい、われらもふんばるべ!
安倍政権の憲法破壊を許すな!

・・・しかし、なんなのでしょうね、今ひとつ燃えないのよ。やっと反戦争法案ウンドウが燃え広がってきたというのに。あんまり毎日雨が降るせいですかね。

もういいや、というわけではぜんぜんないんですが、みんながわあっと頑張りだすと、なんかほかに気をまわしておかなければならないことがあるような気がして。
多くがコチラ側に立って反体制に決起する、という経験が初めてだもんで、なんとなく不安なのかも。こういう時勢には変なものも出てくるし。

百田某にはびっくりしたね〜。沖縄の米軍基地がどんなふうにできたか、まるで知らないでモノ言ってるんだもの。
放送作家出身の作家ですって? 現代の放送界と文壇の程度が、いかに低いか、証明しに出てきたようなひとね。
戦前、トンデモ歴史を言い立てるヤカラが言論界を牛耳って、皇国史観や聖戦意識を高揚させたと聞きますが、なるほどこういう感じだったのね、と妙に感動してしまった。

歴史修正主義とネトウヨをさんざん煽って日本会議・自民党政権を勢いづけてきた漫画家が、そのことへの自己総括はまるでなしに、いまさら自民党批判をぶちあげ、憲法についてエラそうに当たり前のことを喋り、それをまたコチラのひとが嬉しそうに取り上げたりしているのを見るのも、とても不安。
こういう時勢には、そういう軸の無いヤカラが続出するものだ、と知識として知っていたものが、目の前に出現する気色悪さ。

ま、そんなこんなで、どこかに落とし穴があるのでは、と、トシヨリなのかなあ、そう思っちゃう。

現に、この騒ぎに隠れるようにして大量に死刑執行されているし、石川さんの再審請求ウンドウも山場なのにかすみがちでしょ。原発だってそう。
そして、文科省の教科書検定はそろそろと、アイヌ民族の歴史を歪めようとする動きに出てきている。

でね、憲法第9条の危機は今、まったくもって緊急最大の課題。気を抜かずに動きつつも、多くのひとが決起してくれたのをこれ幸いと、埋もれがちなことにも片目を向けておこう、と。

そんなわけで、今、アイヌの歴史をちょっとベンキョーしてるとこ(^^)
前にも始めようとしたんだけど、教科書に選んだ本がマズかった。
『アイヌ民族の歴史』(榎森進、草風館)。
いや立派な本なのよ。立派過ぎ。本格的大著なんで、私、なかなか読み進めない(T_T)。で、今度はこれ。
『アイヌの歴史』(平山裕人、明石書店)
私向き! 副題に「日本の先住民族を理解するための160話」とあるように、平易な文で、理解しやすく解説している。石器時代からの東アジア列島の歴史のなかにアイヌを見て行く、という壮大なものなんだけど、するする読める。
1958年、小樽に生まれた著者は、今日まで北海道の小学校教諭を務めながら、長年、アイヌ史の研究と記録に取り組んできたひとだそう。
各分野の専門家からは、過不足が指摘されるかもしれないけれど、私のような初心者が入門書とするには、もってこいなの。これがすんだら、先の大著にとりかかりますかね。

さあ、ベンキョーだベンキョーだ!
「アイヌは自然消滅したのでゴジャマス、今はもう、真性のアイヌ民族などはいないのでゴジャマス、日本は単一民族の国でゴジャマス」と総理大臣が言い出した時、事実をキチンと教えてやらなきゃならないからね(^^)

『アイヌの歴史――日本の先住民族を理解するための160話 』