第241回 ねえ、どう思う?

中山千夏(在日伊豆半島人)

私も何度かお付き合いさせていただきましたが、佐原さん、金関さん、門脇さんなど、ほんとうに威張らない稀有な男性でしたね。なにほどの地位や業績がなくてさえ威張る男子が多い中、まったくさわやかなオノコたちですなあ。

それはそうと、STAP細胞事件、どう?
シロウトとしては戸惑うばかり。
分野が分野なのでスパッと裁断つかなくて。

ふたつの切り口があると思うの。

ひとつは、学問ね。
私はすぐに我らが友が渦中の人となった「神の手事件」を思い出した。
あの時、えええっ、埋めたものを発掘して見せたあ? 周囲はずっとそれに気付かなかったあ? 考古学の発掘って、そんな非科学的な手品が通用するような仕組みなわけ? と驚いたものです。
今回も、いや今回はそれ以上に驚いた。
テーマが解釈の余地などない事実のみ(とシロウトには見える)化学であるうえに、先ごろ自殺した関係者は世界的に有名な研究者。研究チームは立派な組織に属しているし、論文掲載誌も世界的に権威ある科学雑誌。
そんな論文が部分とはいえコピペだったあ? 写真が修正写真や研究時のではないものだったあ? 化学の世界って、一研究者がそんな過ちをしでかしても誰も気づかず、しかも権威ある査読を通過するような仕組みなわけ?
まったくオドロキモモノキです。

もうひとつは性問題。
こちらについては、すぐにサコちゃんを初めとする知人の女性研究者を思い起こした。
学界、それに関連する企業、官界、そしてマスコミも、完璧な男世界なのだなあ、と感心しながら確認した。
「たられば」はくだらないけれど、もし小保方さんが50男だったら、と思わずにはいられない展開だった。論文発表時からスキャンダルの今にいたるまでね。

学問問題としては、
1)徒弟制度にも似たヒエラルキーのなかで上には異論も言いにくい土壌、それに基づく派閥構造が、学界から官界、マスコミまでを覆っていること。
2)研究チーム、査読などの調査機関、諸認可を握る行政の担当部署などの人員不足。
があるんじゃないかなあ、と。
そうは言っても傍目に過ぎないから、いまひとつはっきりしない。
意外でしょうが2)についてはいささか実感あり。賞の最終選考委員の経験が少しあるんだけど、どれももっとたくさんの読み手がじっくり読むべきだと、痛感してます。
結局、人材ほかを確保する費用が問題、ということになるのだけれど。
しかし、文芸は基本、唯一の回答などないものだから、それでもいいんだけどね。

性のほうは、これはもう、男社会を生きる女たちは熟知する問題が多々あるでしょう。
でも私は、さほど強固な男社会を生きた経験がない。会社勤めしてないし。国会だって無所属の一本独鈷だったから、男社会の中枢は全く経験していないしね。
だから、マスコミの相変わらずの差別的反応は実感できても、小保方さんとその周辺男子の経験は的確に掴めないわけ。

で、サコちゃん!
ここは分野は違っても同じ研究者、しかも女であるサコちゃんの意見をぜひ聞きたい。
あ、あ、ほんの意見でいいので、あまり考えこまないように(^_^;)
そこんとこひとつよろしく、テケトーにおねがいしまーーーうまノノノ