第225回 地球脱出計画 第4話

中山千夏(在日伊豆半島人)

えんえんとタダのひと会議は続いている。

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サコリンスカヤ ちっとも根本的な解決策ではないけれど、とりあえず全員が自分の人生を自分で決めることができる。議会制民主主義で決めるよりマシではないですか。ってことで、いかがでしょうか、チナ議長?

チナチンスキー はい。根本的な解決策はない、というのが現在の科学的結論ですから、それは仕方ないですね。とりあえず全員が自分の人生を自分で決めることができる、うん、その体制をみんなで作りたいものです。あ、もうみなさん慣れてきたので、議長はいらんでしょ。わたしゃとりあえず、議長をやめる、と自分で決めますです^^;

一同 わっはっは。異議なし!

チナ ふ〜。でさ、ついては、ひとのやりかたは全部認める、って約束しない?

後期高齢者 なんと。ながらスマホも電車内足投げ出しも認めるのか。むりだ! 限界だ!

若者 足長いんだから仕方ないじゃん、おっちゃんらと違って。

会社員 公衆マナーはまた別の問題でしょう。

環境保護協会の会員 そうそう、節電とか環境保護とか、原発関連のことでしょ。

女の子 いいねいいね。あれダメこれダメ言われると、もう節電とかする気なくなっちゃうしぃ。

会社員 てか、おれだって原発反対で節電もやってますよ。でも、パソコンやめろなんて言われると、仕事にならないっす。

男の子 えええ〜!ゲーム機使ってもいいでしょお、そのかわり電気のつけっぱなし、ぜったいしないからさ〜

路端暮らしの紳士 もともと抜本的な解決のある話ではないのですから、みんなでいろいろやってみる。それしかありませんよ。

伊東市民 はいはいは〜い。

チナ はい、どうぞ。あ、いけね、議長やっちゃった、たはは。

伊東市民 あのさ、いろいろやるって話だら。その一例なんだけど、話していいけェ?

サコ どぞどぞ。

伊東市民 わたしっち(以下方言略)発電しようかって。

一同 ほうほう。

伊東市民 それで、いろいろ研究中。うちのほう、河川が豊富だから、小水力発電がよさそうなんです。で、先週は都留市の小水力発電、見学してきました。申しこめば市が案内してくれます。案内料金若干かかりますが。できた電気は市役所などで使って、夜間の電気は東電に売るという方式でした。昔から町なかを流れている家中川というのを利用してます。つまり発電設備も町なかにある。元気くんって名前がついてるんだけどね、写真とってきたので、どうぞ見てください。


元気くん1号 立派です 最大出力20kW


元気くん1号 木製の羽根がいい感じ

主婦 あらこれ、でっかい水車の一部みたいね。

伊東市民 それが、私たちに一番人気だった元気くん1号。3号はその半分くらいかな。2号は水車のカタチが螺旋状になってて、長いの。


元気くん2号 最大出力19kW


元気くん3号 螺旋状です 最大出力7.3kW

女の子 へええ、いろいろあるんだ。

伊東市民 はい、見てみないとわかりませんね、やっぱり。あ、それと、意外に音が大きいのです。

路端で暮らす紳士 そりゃそうでしょう。わたくし、段差のある河にかかった橋の下で寝たことがありますが、ざあざあとなかなか賑やかでした。

伊東市民 でしょうね。これから適地探しにかかろうと思ってます。市民参加をどう実現するかが課題かな。できたら見にきてね。

サコ 見たい!

女子大生 私は反原発デモ続けるのと、あと、廃炉や備蓄燃料や使用済み燃料の安全管理を監視していくつもりです。彼ら、なにするかわかりませんからね。

主婦 私は節電に力をいれてますよ。うちでもそとでも。エスカレーターも絶対、使いません。

若者 あのう、あなたが乗らなくても動いてるわけだから…

主婦 …いいんです。そういう覚悟が大事なんです。みんなが乗らなくなれば、止まるかもしれませんよ。それに、ダイエットにもなるから、一挙両得です。

一同 …

チナ そうそう、そこです。お互いのやりかたにケチはつけない。各自できることを少しでもする。ね? こんなところで今回の会議はシメとしませんか、どうです、言い出しっぺのサコリンスカヤさん?

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一同、サコリンスカヤに注目する。そこですっくと立ち上がったサコリンスカヤは…

(次回につづく!)


これも水力発電機!小さなXmasツリーの電飾ならじゅうぶんとか