第224回 地球脱出計画 第3話

佐古和枝(在日山陰人)

サコリンスカヤ「原発に話を絞って、これからどうするか、ですね。え〜っと・・・(それをチナチンスキーさんに言うてもらうつもりだったのに、まんまと返り討ちにあってしまった。チナさん、議長だもんな〜。私が議長をすればよかった。いやいや、年長者をさしおいて自分が議長になるなんて、できないし・・・)」

チナチンスキー「サコリン! 話の途中で黙りこまないで、なにかアイデアをだしてください」

サコ「地球脱出が無理、合意形成も無理ってことなら、各自で考えてもらいましょう。では、これで会議は終了、解散!ほな、さいなら」

チナ「こらこら、待ちなさい。せっかくタダノヒトがこれだけ集まったんだから、もう少し話をしようよ」

若者「人間じゃなく、放射能で汚染したものを他の惑星に運んでしまえば?」

後期高齢者「こらこら、自分で出したゴミは自分で始末しろと、学校で教わったじゃろ!」

自然保護協会の会員「確実にコントロールできないところに、そんなアブナイものを放置してはイケマセン」

主婦「隕石みたいに落ちてきたら、どうするの!」

会社員「地下に都市を作って、放射能汚染が消えるまで、そこで暮らすんやな」

後期高齢者「わしゃ、モグラじゃない」

主婦「地震がきたら、潰れるわよ」

チナ「地下は、もう放射性廃棄物を埋めまくったから、かえって危ないでしょ」

女の子「あのぉ〜、別の惑星に住むほどの技術が開発できるならぁ〜、放射能を消す技術だってぇ〜、頑張ればできるんじゃないですかぁ〜?」

原子物理学者「無理です」

チナ「おや、突然に登場しましたね」

原子物理学者「ボク達だって、この100年間、必死に研究してきたんです。原子力なんて作ってしまった責任を感じてるから。でも、放射能を消すのは無理です。宇宙の原理には勝てません」

チナ「じゃ、どうすればいいの?」

原子物理学者「そんなこと、わかりません。ボクに聞かないでください」退場。

自然保護協会の会員「なにはともあれ、いますぐ世界中の原発を止めさせなきゃ」

サコ「合意形成は、難しいのです」

主婦「だったら、とりあえず地球の北半分は原発を使って暮らしたい人達、南半分は原発を使いたくない人達で住みわけをしましょうよ」

女の子「それ、いいかも!」

サコ「では、南半球では縄文人みたいに暮らすんですね。考古学徒の出番だ!」

若者「縄文人?嫌だよ。引っ越しも面倒くさいし、オレ、このままでいい」

自然保護協会の会員「巨大な防護壁を赤道のところで地球一周させて、北半球の海水や空気の汚染が南半球に来ないようにしましょう」

サコ「原発推進してた人達も、ね」

主婦「どっちの人口が多くなるかしら」

会社員「それ、おもろいな。結果が知りたいわ」

サコ「ちっとも根本的な解決策ではないけれど、とりあえず全員が自分の人生を自分で決めることができる。議会制民主主義で決めるよりマシではないですか。ってことで、いかがでしょうか、チナ議長?」

(次回に続く)