第218回 海はタイムマシン

佐古和枝(在日山陰人)

小笠原のおみやげ写真、島の様子は去年も見せていただいたけど、今年は水中写真に圧倒されました。お魚さん達もきれいだけど、千夏カメラマンの腕前に感服です。千夏さんは、絵が上手だから写真もうまいんだろうな〜。サコは絵が下手で、写真も下手。羨ましい限りです。

ところで、あの海の住民たちは、カメラもってうろうろする千夏さん達を、どんなふうに眺めているのでしょうね。イルカも魚も、人類の大先輩。ま、地球上の生き物のなかで人類はいちばん最後に登場した新参者だから、どんな生き物も大先輩ですけどね。
考古学徒サコは、人類の歴史を遡り人類とは何ぞやと考えているうちに、動物の進化、さらに生命の進化にまで興味をそそられるようになりました。あまりに遠い過去であるためか、年代については考古学界以上に諸説ありますが、ザックリ書くと、地球が誕生したのが46億年前。そこに海ができ、海のなかで生命が誕生したのが40〜38億年前。そのうち、水面に近いところにいるやつが光合成をして、自分で栄養分を作り始めた。これがシノアバクテリア、植物の祖先ですね。27億年前にシノアバクテリアが大増殖し、酸素の供給量も大増加。

5.5億年前、有名なカンブリア紀の大爆発の後、それまで数十種だった地球上の生き物が数万種にまで大繁殖。この頃に、水中で多様に進化した生き物たちが、目に見える大きさになったそうです(専門外なので、間違ってたら、ご〜めんなさい)。

4億年前、水中では背骨をもつ生き物(魚の祖先)が出現、海のなかを支配するようになりました。そして海の中は生き物過密状態となり、水中と陸地と行ったり来たりする両生類があらわれ、また水中の植物が大地に上陸し始めます。あとは、爬虫類から千夏さんが大好きな恐竜の時代(2億年前)を経て、6500万年前に哺乳類が誕生。そして最後に出現した人類の誕生は、ほんの600万年前。地球の誕生から現在までを一年間に換算すると、人類の誕生は12月31日午前10時40分だそうです。
こうしてみてくると、人類なんぞ、つい最近あらわれた新入りなのに、いちばんエラソーにしのさばって、大先輩たちを食い物にして・・・いけませんね。

250万年前に道具を作り始めた頃から、人類は他の生き物たちと大きく違う道を歩き始めたわけですが、人類が発明してきた道具のほとんどが、他の生き物には迷惑なものばかり。原発なんて、その最たるものでしょう。

千夏さんは、そんな大先輩たちの故郷に行ってきたわけだ。サコは遺跡へ、千夏さんは海の中へ、時々タイムマシンに乗って大昔の世界を訪れる。たまにはそんな遠い世界から、“いま”を眺めてみるのも、大事なことだと思います。「便利生活依存症」とか「ゴーマン症候群」「ゲーム中毒」などの現代人の心の病の治療・予防にもお薦めです。ね!