第166回 ■オスの悲劇■

佐古和枝(在日山陰人)

だはは〜、ワンコ菌に兵隊さんですか(~_~;) 男性が学問にも政治にも向かないとなると、男性には何をしてもらえばいいんでしょうねぇ。
縄文時代や弥生時代の女性は、植物採集、料理、土器作り、布(服)作り、出産に子育てと、毎日とても忙しかったと思います。お父さんは、狩りや漁撈に出かけたり、家を建てたり道具を作ったりしたのでしょうが、毎日しなきゃいけない仕事でもないですよね。雨が降り続いたり、大雪が積もったりしたら、お父さんは、何をしていたんでしょうね。もしかして、粗大ゴミ扱い?(~_~;) そう言ったら、縄文研究で著名な某先生が「オトコは暇だから、政治をしたり戦争をしたりするんだよ」とおっしゃいました。なるほど。

おサルさんの研究で有名な河合雅雄さんの著書『森林がサルを生んだ』のなかに、「動物にとって、雄であることは一つの悲劇である」という一文があります。オスにとっては、「雄同士の闘争に勝ちぬき、雌に種をつけること、いわばこのことが最も重大な使命なのだ」そうです。たしかに、交尾相手のメスを獲得するために、オス達がくりひろげる闘争の凄まじさには、ビックリ仰天。命賭けだもん。オスも大変だ。
河合さんによると、メスは子どもをもつことによって母親というステータスを得ることができる。オスも、父親という座を獲得して、初めて社会的存在として完成し、メスと同格になることができる。そのためには、群れを守り、育児に積極的に関与しなければならないのだけど、その地点にまで到達できないサル社会のオスは、時に子どもを殺したりするんですって。自分が父親になりきれないから、母親をメスの座にひきずり下ろして、対等の次元に立つって魂胆。メスは、子どもを殺されると、子どもを欲しがってまた発情する。それがオスの狙いなんですね。なんともはや。

ローレンツの名著『攻撃』によると、オスの攻撃性は、種を維持すること、つまり性と密着している生得的な性質だとのこと。おサルさんも、オス同士の闘争だけじゃなく、性交期にメスを服従させるために、メスを激しく攻撃したりしますもんね。つまり、人類のはるか以前から、オスは戦士なわけですね。

だから、前回の千夏さんの話も、「兵隊の習癖」というより「オスの習性」なのではないでしょうか。オスにとって最大の恥は、メスに拒否された時なのではないですか。そんな恥をかかないためには、強いオスにならなきゃいけない。そこで、オスをオスらしく育てようとして、兵隊さん的教育をする。そうではなくて、動物のオスを人間のオトコにするための教育をしなきゃいけないってことですよね。

でも、恩師や先輩に対して無条件に平伏するという軍隊的精神は、少なくとも私より若い世代では、消滅しつつあると思います。そして、草食系男子が増えている、モテている。ということは、兵隊さん的男子は絶滅危惧種(*^^)v・・・となればいいのですが、草食系の時代がしばらく続けば、その揺り戻しで肉食系男子が跋扈しそう。兵隊さん的男子をチヤホヤしないよう、女子教育も大切かも。