第161回 ■大地震大津波原発事故極小史■

中山千夏(在日伊豆半島人)

機動力も体力も財力も「ただちに健康に影響はない」程度しかない私は、従って救援活動には少しも役にたたぬので、気を取り直した数日前から、原発事故を巡る新聞記事の検証を始めた。
事故当時からテレビとネットでほぼ同時的に追跡してきた。だから、知ったことは多いが、しかしかえって大きな流れが見えない、流れのなかでそれらの持つ意味が見えない、と気づいて、3月11日からの新聞(ただしナマケモノにつき一紙のみ(;^_^A)にとりついた次第。

さなかにいるからさほどにも思わないけれど、実は私たちは日本史(いや世界史でも)の驚異的大惨事、太平洋戦争に次ぐ大惨事を生きているのだと思う。原爆と原発が原子力で通じているのがなんとも皮肉だ。
起こるそばから事態が歴史になっていく。なにがどう進行したのか。その生き証人に、意識的に、なる。それが私にできることかと。
3月11日からの新聞を検証するのは、ごく近過去の「古文書」調べだと言える。

今は4月3日。グズだし合間には遊びもするので、検証はやっと3月15日に及んだばかり。当時は長い間に起こったと感じていたことが、実は一日のうちのできごとだった、と知って驚いたりしている。

日本の原発の歴史にも、遅ればせながらちょっと明るくなった。すると、そもそも日本での原発開始、推進は(感じていたとおり)国民の要望や意志に基づくものではまったくなく、日本の経済政策ですらなく、もっぱらアメリカ合州国の軍事戦略によるものであったことがはっきりして、怒る以前に顔負けした。
原発は、一部の反対者たちが口を酸っぱくして言ってきたとおり、米国が核兵器を維持するための装置であり、日本の原発はその一環として、米国が強引に日本に持ち込んだものだった。

だからこそ、米国でも日本でも、国土汚染国民大量被曝をかけるほどの電力供給力も経済性もないのに、安全面から反対する良心的な科学者技術者一般市民の声も抑圧して、政府は原発を続けてきた。
結果を見てもわかる。原発の国連安保理とも言えるIEAE(今や日本が事務局長だ)は、技術への懸念から、いくつかの国の原発に干渉してきたが、実際に大事故が起きたのは?
米国のスリーマイル島、旧ソ連のチェルノブイリ、そして日本のフクシマ。軍拡競争の当事者とその腰巾着だ。いわば無理やりの軍拡が危険を無視させての結果、としか思えない。

今回の原発事故被害者は、広島長崎の原爆被害者と同様、軍事的被害者だと言って間違いない。御用学者ぐるみの情報隠し、情報操作も、まさに軍事的ふるまいだ。

原発は軍事産業である。

それを知ったうえでの原発支持者は国益のために大量のひとを虐殺したナチスに等しい。
それを知らない原子力「平和利用」原発支持者は、大東亜共栄圏の平和を真に受けていた大日本帝国臣民に等しい。

おっととと、ついリキが〜っ(;^_^A
最近悟ったんだけど、一回作ってしまったら、運転停止しても運転中でも、危険度は変わらないのね。だから、対応はこういう順番だと思う。
(1)事故炉を安定化、密封し放射線漏れを食い止めることに全力を注がせること、同時にどの炉についても、今の甘い予想による緊急時対策を徹底的に改め、点検管理を強化させること。
(2)新たな原発建設はさせないこと。
(3)停止中の炉の再運転はさせないこと。
(4)運転中の炉を停止させること。
この順番でとりかかるのがいいのではないか、と。とにかく、監視していて口うるさく言わないと、また大事故が起こるよ。要因は津波ばかりじゃない。というより、要因はつまるところ人間なんだから。ねっ。