第135回 ■タマゴバロニアに向かって■

中山千夏(在日伊豆半島人)

>ちょうど土井たか子さんが社会党の委員長になり、社会党が大躍進して、「これからは女性の時代だ!」みたいに言われた時期でした。私が考古学の仕事をし始めた頃だったので、よく覚えています。その頃からじゃないでしょうか、女子学生がメキメキ力を発揮し始めたのは。

20年前というと、おおっ、私が(田中優子さんではないが)「隠居」宣言して数年後、振り返ってみると第二の人生が開けてきたころだ〜(優子さん、時間ができたらまた「あのすば」再開してね〜)
なにしろ子役からやってたからね、40代初頭で隠居も早くはないと考えた。これからはやりたくないことはやらず、やりたいことだけやって生きるぞ〜、と漠然と決心した。漠然と決心、は矛盾するみたいだけど、私の場合、そういうのが多い。振り返ってみて、そうか、あの時が決心か、と自覚するのですね。以来、つい「ねばならぬ」とやりたくないことをやり、やりたいことをやらなくなりそうになる自分をいさめつつ・・・

で、20年くらい前のその決心から開けた新世界がみっつあって、現在はその世界に生きてるのよ、私。
(1)古事記 1990年に『新・古事記伝』を出してる。つまりその何年か前から古事記の世界にハマったわけ。
(2)海 92年にスクーバのCカードとってる。
(3)
コンピュータ 2000年に初代ノートPCを購入している。
そして今、このみっつでできてるようなもんだものね、私の世界は。人間関係も仕事も遊びも。言い方変えると、歴史と自然とITにつきせぬ興味がある、となるか。

その世界から見てると、人間ってほんとに可塑的で、しかも変化が早いみたい。いつかなる、とは思っていたけど、まさか20年後に女子学生のデキの良さが問題になり(おお、懐かしの女子大生亡国論!)、イケメンどころかイクメンが男子の流行になるとは。
20年前には誰も予想しなかったでしょ。

それに、若者の肉体の変化。
昔なら「モデルか俳優」みたいな容貌がごろごろいる。おしなべて手足が長い。永六輔さんも『週間金曜日』の「無名人語録」に書いてた。
〔「オリンピックを見てると選手に美女が増えたね。
東京オリンピックの『東洋の魔女』
ホントに魔女だったね」〕
ふふふ、年齢に免じてプチ差別発言は大目に見ようね。しかし、東京オリンピック時代にくらべれば、スポーツ選手にも若い知識人にも無名少年少女にも手足の長い美形が増えた、という実感は私も同じ。で・・・不思議だあ〜
なんでこうなるの? たかだか半世紀やそこらで? 
原因は? 変化の方向は?
古代から人類変化のスピードはこんなに早かったのかしらね? 

13度の海中、高性能デジカメで撮った「タマゴバロニアに寄生するウミウシ」の超マクロ写真が壁紙のデュアルモニタに向かってキーを打ちながら、そんなことを考えたのでありました。