第87回 ■クマソもびっくり■

中山千夏(在日伊豆半島人)

はいっ!
なにを隠そう、私、クマソの子孫です!

私の母の母が生まれたのは、熊本の旧家。
といっても球磨郡ではなくて、菊池郡だから、生粋のクマソではないのかな。
それに母の父は福井県の旧家だからね。ミックスです。
もっとも、ご先祖すべてを辿れば、みんなミックスが当たり前。そこから都合のいいのだけ取り出して見せるのが、ご先祖自慢というやつで。ふふふ。

福井といえば、サコちゃんキョンちゃんと、海辺の民宿に泊まって盛り上がった一夜をなつかしく思い出す。あの夜、「おんな組いのち」のアイデアが生まれたのだったね。
そして、あそこは泊原発の近くだったよね。
昨日、ほとんどの原発に予想される地震での揺れが、見直しによって、最大でこれまでの約1・6倍の強さに訂正された、と新聞で読んだ。特に福井では、大きな活断層が原発銀座の直下を走ってるんだって。前から学者は言ってたことだけど、やっと推進派がそれを認めたってことだ。

だいたい、ここ、地震国だから。それでも原発作りたがるひとたちって、よほど「緊急自動停止システム」を信頼してるんだろうね。飛行機を信頼するのと似てるね。もともと重い金属の固まりを飛ばすのは無理なのよ。だから、時々、落ちる。
しかし飛行機の場合は、乗員と落下地点の被害ですむけど、原発に「もしも」があったら。チェルノブイリだもんね。
よく作るよなあ。

なんて思って一晩寝たら、今日の朝刊には、風力発電が頓挫してるってニュースが載ってた。やっぱり地震がらみ。新しい、厳しい耐震基準を適用されるので、コストがかかり過ぎる見通しになった。それで予定の新設計画の6割以上が大幅に遅れたり、中止に追い込まれたりしているんだって。「風力発電は新エネルギーの柱で、国は10年に設備量を出力300万キロワットに増やす目標を掲げているが、達成は厳しくなった」そうです。

考え込んでしまうのはね、もし、サコちゃんたちの建設反対運動(詳細忘れた、できたら次回、説明たのむ)を知らなかったら、今、風力発電が国がらみの驀進事業だとは、予想もしていなかったろうってこと。なんかこのごろ、あちこちで風車見るなあ、ぐらいのことで。このニュースで、初めて知ったというひと、多いんじゃないの。
原発も同じ。気がついたら驀進してた。で、火力発電、水力発電の害、環境破壞が指摘されるようになった。どれも、作られる時には言われなかったことだった。
今、風力発電の害について知っているのは、サコちゃんたちの運動周辺だけじゃない? マスコミもほとんど言わないよね。
これでまたなにか新式の発電を推進することになったら、風力発電の害が指摘されるんだ、きっと。
そして、やめることのできた発電はひとつもない! 水力、火力、原発、風力、全部ある。害といっしょに。

なんて考えてたらくたびれた、ふうううう。
クマソの子孫もお手上げじゃ、この世の中には〜