あんなこんなそんなおんな・・・・・昔昔のその昔 第73回

■おかえりなさ〜い!■

中山千夏(在日伊豆半島人)

「むきばんだ弥生塾修学旅行」韓国、無事終わったのね。
ふっふっふ、参加していた友人から、昨日(9月6日)メールもらったから、知ってるの。

「雨にはたたられましたが、楽しくおいしく、めづらしい遺跡・発掘現場・博物館を堪能してきました」って。
サコせんせほか19名。大学生から83歳まで、「みんな「むきばんだ」を愛するひとたちでした」って。

韓国の考古学者との交流会もあったようですね。
ずいぶん前だけど、森浩一せんせのアレンジで、来日した韓国の考古学者を囲んで、シンポジウムしたこと、思い出しました。私、司会をしました。韓国のせんせがすっげハンサムだったことしか覚えてませんが (^^;

学問と朝鮮文化ですぐに思うのは、言語のこと。なにによって、とひとつを指摘はできないんだけど、いろいろな教育のおかげで、成人するまでの間に、私の頭にはなんとなく、こんな知識が入っていた。
「日本語は系統的には、チョ〜独特な孤立した言語である。似た言語はどこにもない。強いて言えばウラル・アルタイ語属に属す。歴史的な影響としては、漢字、熟語など、中国の影響を大きく受けている」
すごいね、朝鮮無視。まるで眼中になし。

だから、『古事記』を調べていくうちに、地名や役職名にまったくの朝鮮語があったり、朝鮮語に置き換えてみるとわかるシャレがあったりしたのには驚いた。しかも、ちょっと齧ってみたら、文法、まったく同じでしょ。語のとちゅうだと濁音になる(
たとえば「漫画本→まんがボん」)けど、語の頭では清音になる(本→ホん)とかも同じ。歌手のイ・ジョンミ、名前だけ呼ぶ時はチョンミちゃんだもんね。
これ知って、朝鮮語を母語とするひとはなぜ「ばか」を「パか」と訛るのか、よおくわかった。頭に濁音がくる音は、朝鮮語にはないからなんだ。フランス人が「花→はな」をどうしても「アな」と言っちゃうのと同じ、母語の法則による訛りだったんだ。
日本語も基本的にそうで、頭に濁音がくる語は外来語だって。
いやいや、びっくりしたなあ。なにが「チョ〜独特な孤立した言語」なんだ、と腹たった。

ま、言語学の系統論的には、そういうことになるらしい。そもそも言語の系統学というのが、難物なのね。これも最近読んで驚いたのだけれど、言語の数、万を越すんだって。その多くが日々死滅に向かっている。これは言語学の研究材料が消滅しているわけで、言語学の悲劇だ。絶滅危惧言語の話者の生活圏は、絶滅危惧種の生活圏と重なることが多い。絶滅危惧言語の保護は、だから絶滅危惧種の保護につながる。よって絶滅危惧言語を守れ〜、とい叫んでいる西洋の言語学者の本なんだけどね。

それはともかく。今でも日本語は系統不明と言われている。でも少なくとも、朝鮮語との対比は、ほとんどの研究者がしてみているらしく、その結果も世に流布されている。結論は、そっくりだけど系統が同じとは言えない、と。おもしろいのは、朝鮮語も「チョ〜独特な孤立した言語」で、日本語とそっくりだけど同系統とはいえない、となっていること。
結論の正否は私には判断つかないけど、「朝鮮無視」の昔にくらべれば、巷の学問的常識の偏見はへった、ということかな。

系統論でも何論でもいいけど、とにかく一番近い外国で(東京から小笠原より、博多から韓国のほうがずっと近いでしょ)昔から交流が多いんだから、おたがいに影響をうけあっていないわけがない。だから私が信頼する考古学者、古代史学者、古代音韻学者は、みんな朝鮮を学び、現地に足を運んでいる。

サコちゃんの韓国訪問、もう何回になるのだろう。ずいぶん行ってるよね。まさに「考古学の研究は、研究室にひきこもっていては出来なくて、モノと見に行くお金と時間と体力・気力が必要なのです。だから、考古学者は貧乏ヒマなし (^_^;) 」ですなあ。
ふふふ、サコせんせ、今回の収穫は??
お土産話、聞きたいなあ。