あんなこんなそんなおんな・・・・・昔昔のその昔 第6回

■こりゃ、便利だ!■

佐古和枝(在日山陰人)

人類が作った最古の石器は、いまのところ250万年前頃のものとされています。植物や動物の骨などで作った道具もあっただろうけど、何万年もの間、地中でも腐らないのは石器くらいなものです。以後、1万年余り前までを旧石器時代と呼んでいます。
さて、気候が寒冷化して森が縮小し、さほど強くなかった私達の祖先は森から追い出され、草原で暮らすようになりました。草原は、森ほど食べ物が豊かではありません。私達の祖先は、どうやら他の獣達の食べ残しをあさって歩いていたらしいのです。初期の石器は、石を叩き割って刃のような部分を作る簡単なものでした。動物の肉をそぎ落とすのに役に立ったと思われます。生きていくために、必死だったんですね。
石や枝を使えば、自分の能力以上のことができる。自分より強い獣を追い払ったり、自分より足の速い小動物も捕まえられる。そんなことにも気づいたことでしょう。
そして、もっと効率よく、もっと楽チンにと、いろんな道具を開発し、どんどん改良していった。文明とは、人類の横着心を満たすための、たゆまぬ努力の産物なのでした。そして、とても勤勉に努力した結果、大量殺戮やら大規模な自然破壊やらのできる道具まで作ってしまいました。
同種同士で殺戮することも、人類の特徴だそうです。ケンカはコミュニケーションの手段のひとつなのだから、イヌもライオンも、相手が「まいった」というポーズをすれば、それで終わる。同種を滅ぼさない本能的ブレーキを、神様は授けてくれているのです。だけど、道具を作ることを知った人類は、自然界のルールからどんどん離れていって、自然界が与えてくれたブレーキも失ってしまった。なんともはや。