あんなこんなそんなおんな・・・・・昔昔のその昔 第57

■おくればせながらあけおめ〜■

中山千夏(在日伊豆半島人)

たは、いくら伝統が嫌いだからって、「あけおめ」は行き過ぎかも。てへへへへ。
こんな私でありますが、みなさま、サコどの、今年もよろしく。

伝統といえば、今年は驚きました。伊東の町に、ウラジロ、売っていないの。
去年まではスーパーの前に小さなお飾り売りの屋台が出て、どうにかウラジロも単独で売ってたのに、今年はどこにも一枚もない。
いきつけの鰻屋のおにいちゃんに尋ねてみました。
お返事は「それなんですか」。ぎゃふ。
おかず屋の主人は同年配。
「売ってないんですよねー。さっきもお客さんきて尋ねられたんですけど。それが、けっさく。アジロないですか、と言うもんで、考えちゃいましたよ。網代は宇佐美の一駅向こうだけどってね。思いついて、あ、ウラジラじゃないですか、と言ったら、それそれ、だって」

仕方ないので代役。考えてみると、ウラは心、ジロは白、たぶん、私の心は真っ白でございますよ〜、だから福の神様、どうぞ、お越しくださいませな〜、という下心見え見えの小道具なんだね、あれ。名前のとおり裏が白いシダなんだけど、わざわざ裏を上にして鏡餅に載せる。

代役、いいのあった!実は私、シダ好きで庭にいろいろ飼ってる。そのなかのひとつ。リョウメンシダっての。付近の野山から採集してきたやつ。シダにしては珍しく、裏から見ても表から見てもまったく同じ様子をしているので、その名がついた。
ねっ、いい代役でしょ。人間、裏表ないのが一番。もしかしたら裏だけ白いよりいいかも。

かくして、今年のうちの鏡餅は、おそらく日本で唯一の格好、「新発明の伝統」とあいなりました〜
福の神さん、リョウメンシダの意味をわかってくれるといいんだけど。ははは。