あんなこんなそんなおんな・・・・・昔昔のその昔 第54回

■嫁のつぶやき■

佐古和枝(在日山陰人)

千夏さんは、お酒が怖いか。あたしゃ、オトコが怖い・・・いえいえ(^_^;)
考古学って、わからないことだらけの世界なのですが、その1つに“モドキの土器”があります。
土器には、地域によって特徴があるので、たとえば河内で吉備の土器がでたとか、山陰で北部九州の土器がでたとか、日本のどこかで朝鮮半島の土器がでた、ということがあり、地域の間で交流があった証拠とされます。「交流ってナンなんだ?」という話もあるのですが、今回それはおいといて・・・
不思議なのは、どこの土器でも、他地域で出る場合、本拠地の土器とは、なんとなく違うものが多いってこと。たとえば、たしかに吉備の土器なんだけど、微妙にプロポーションが違うとか、どことなくドン臭い。つまり、吉備モドキの土器になってるのです。
もちろん、本拠地から運ばれてきたと思われる、モドキではない土器もあるんですけどね。そっちの方が珍しい。
じつは韓国の釜山の遺跡で、3世紀頃の山陰系とされる土器が出ています。「系」ってのがモドキのこと。韓国の土器ではないし、日本なら山陰の土器としか考えられない。でも、変テコリンな土器なんです。同じ頃、山陰でも朝鮮半島系の土器がでる。やっぱり、本場に比べると、どことなく違う。
「なんで、モドキになるん?」と、土器が命みたいな考古学の先輩に尋ねても、「そんなこと、わからん」と、そっけない。でも、気になる。
前にも書いたように、一般的に土器作りは女の仕事とされています。ってことは、モドキを作ったのも女性?ってことは、故郷の土器作りを充分にマスターしきってないまま、よそに移住した若夫婦の妻とか、嫁に行った女性が、「かぁちゃんは、たしかこんなふうに作ってたっけ・・・」とか呟きながら、故郷を偲んで作ったのかな? なんでまた、故郷の土器を作ろうと思ったんだろ?ご先祖さまの供養には、やっぱり故郷の土器でなきゃ・・・とか思ったのかな?
そんなことをブツブツ唱えてたら、「おまえもなぁ、一応はケンキューシャのハシクレなんやから、もうちっとマシなこと、気にせえ」と先輩に叱られた (^_^;)