あんなこんなそんなおんな・・・・・昔昔のその昔 第36

■余裕の微笑み■

佐古和枝(在日山陰人)

前回の文章、千夏さんから突っ込まれるだろうなと思っていました(^_^;)でも、「にこやか」とは、予想外でした。サコは、てっきり戦うオンナ達の話について、千夏節が展開されるだろうと思っていたのですけれど。
その「にこやか」について、私が「カッコいい」と思ったのは、それが媚びではなく、余裕の微笑みだったからです。
彼女は、各地の民族事例や歴史的な事実のなかに、女装し男性や男装した女性が、その社会のなかで重要な役割を果たすなどの事例を挙げました。
人間の長い歴史をひもとけば、男女という線引きや役割分担にも、実に多様な価値観が働いており、「オトコはこう(であるはずだ)、オンナはこう(であるはずだ)」という現代人の思い込みをそのまま過去の人々に当てはめない方がいいと言いたかったのだと思います。
ジェンダー考古学という分野は、外国ではかなり活発ですが、日本ではまだまだ未成熟。その差が、余裕の「にこやか」だったのだと思います。
いつか、千夏さんに「被葬者が確実に男性だという根拠(人骨)のある古墳って、本当に多いの?」と尋ねられて、ギクっとしたことがあります。骨で男性だと確認できない場合でも、「なんとなくオトコ」だと思い込んでいる考古学の研究者は多いだろうと思います。かく言うサコもその1人でした。発表を聞きながら、サコはそのことを思い出していました。